八百六十一話 エマさんとオリビアさんの結婚の真相

 翌朝、僕たちはいつもよりも早起きしちゃいました。

 もちろん、原因はエマさんとオリビアさんの結婚の話です。

 早起きしたので着替えて庭で訓練をしていると、いつも早起きのミカエルとブリットがメイちゃんリラちゃんと一緒に僕たちのところにやってきました。


「ガッフ、ガッフ」


 一足早くドラちゃんの訓練が始まっていて、スラちゃんとプリンに追いかけられながら元気よく庭を走っています。

 この後は、飛行魔法が使えるスラちゃんとの空を速く飛ぶ訓練が待っていて、更にその後にプリンと一緒に魔法の訓練も行います。

 中々ハードなスケジュールですね。

 訓練の前に、ミカエルとブリットたちにもエマさんとオリビアさんのことを教えてあげないと。


「あのね、今度エマさんとオリビアさんが結婚するんだって」

「訓練が終わったら、話を聞く為にお隣のお家に行くんだよ」

「「「「おおー! いくー!」」」」


 何となくこの展開も読めました。

 ミカエルにとっては、赤ちゃんの頃から面倒をみてくれたお姉さんだもんね。

 そう考えると、僕たちいとこはみんなエマさんとオリビアさんにお世話になったんだ。

 と言うことで、頑張って訓練をして朝食を食べて、着替えてからみんなでお隣の辺境伯様の屋敷に向かいました。

 ちなみに、ドラちゃんは朝食のお肉を食べ終えて既に野良猫と一緒に庭で寝ていました。


「「「「おはよーございます」」」」

「「いらっしゃーい!」」

「あー!」


 辺境伯様の屋敷に行くと、これまた朝から元気な双子ちゃんが出迎えてくれた。

 そしてシェファードちゃんも、ペタペタとお姉ちゃんお兄ちゃんの後を歩きながらついてきました。

 ちょっとした言葉も話せるようになったので、今の辺境伯家はとっても賑やかです。


「早く早く」

「こっちだよ!」


 そして双子ちゃんは、僕たちの先頭に立って応接室に案内します。

 シェファードちゃんは、僕が抱っこしています。

 応接室に入ると、辺境伯様とイザベラ様にエマさんとオリビアさんもいます。

 更に、ジェイド様とソフィアさんにルシアさんも同席しています。

 辺境伯家勢ぞろいですね。

 僕達も席に座ったところで、辺境伯様が話し始めました。


「では、簡単に話をしよう。エマとオリビアの縁談が決まった。相手は、サギー伯爵だ。というのも、例の事件の頃から先々代夫人と話を詰めていて、お互いに顔見知りで仲も良く、すんなり縁談がまとまった。念の為に、エマが正妻でオリビアが側室の扱いになる」


 そういえば、辺境伯様とサギー伯爵の先々代夫人はサギー男爵の件でずっと一緒だったもんな。

 その際に色々話をしていたんだ。

 もちろん三人の意向も確認しているので、何も問題ありません。


「エマお姉ちゃん、オリビアお姉ちゃん。おめでとー!」

「「「「おめでとー!」」」」

「ありがとうね。いやあ、まさか私が結婚するとは思わなかったよ」

「私もよ。しかも、同じところに嫁ぐことになるとはね」


 リズを始めとした面々は、早速エマさんとオリビアさんのところに行きました。

 エマさんとオリビアさん曰く、自分たちの結婚はもう少し先じゃないかなって思っていたそうです。

 とはいえ、そこは貴族なのだから結婚するタイミングはいつ来るか分からないですね。


「結婚式は、秋にサギー伯爵領で行う。この辺りの段取りは、イザベラが先々代夫人と調整を行う予定だ」

「ポッキーの長距離転移魔法があれば、一瞬でサギー伯爵領にいけますわ。馬車でも二日で着くわけですし、ご近所様みたいなものよ」


 既にイザベラ様も、段取りをするのに気合が入っています。

 何と言っても可愛い娘の晴れ姿になるのだから、あれこれ準備をしそうですね。

 ちゃっかりと双子ちゃんと一緒にいるポッキーも、やる気満々って感じで手を上げていました。


「この後、サギー伯爵のところに行って書類を書いて王城に向かう。もしかしたら、王城で会うかもしれないな」

「書類確認をするので、間違いなく結婚関連の書類は見ちゃいますけど」

「そのくらいは何も問題はない。問題ないか、しっかりチェックをしてくれよ」


 辺境伯様も、無事に娘の結婚が決まってホッとしていますね。

 王城には既に通信用魔導具で連絡しているそうなので、大体の面々は知っているそうです。

 今日はドクターを捕まえた件とエマさんとオリビアさんの結婚の件で、大忙しになりそうです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る