八百五十九話 ピエロを撃破
その間に、僕たちはピエロの周りにいる闇ギルドの構成員を倒して行きます。
シュイーン、バシッ、バシッ。
パリーン、バリバリバリ!
「「「ギャー!」」」
僕は少し威力高めのサンダーバレットを放って、相手の魔法障壁を破壊して更に痺れさせます。
先ほどのエリアスタンと同様に完全に痺れて動けなくなるので、反撃される心配はほぼありません。
といっても、一番凄いのはおいたモードに入ったオカマさんに殴り飛ばされた闇ギルドの構成員ですけど。
辛うじて生きているけど、後で回復魔法をかけないと事情を聞くことができないぞ。
そして、リズとスラちゃんのコンビも物理攻撃をメインにして闇ギルドの構成員を倒していきます。
というか、刃のある剣でどうやってみねうちにしているのだろうか。
ジンさんとレイナさんは、周囲を監視しつつ闇ギルドの構成員を縛り上げていきます。
「セイセイセイ!」
ヒュンヒュンヒュン!
「ぐっ、これでは……」
一方、ピエロはティナおばあさまの鋭いレイピアを短刀で何とか受け流していたが、全てをかわす事ができずに体に何箇所も出血が見られていた。
それでもティナおばあさまの攻撃が止むことはなく、ピエロは完全に防戦一方になっていた。
僕たちもピエロの周囲に移動して、ピエロが逃げられないようにします。
そんな中、スラちゃんがススっとピエロの後方に移動していました。
ヒュンヒュンヒュン。
ガキン、ガキン。
「せい、やあ!」
「ちっ、これでは……」
ティナおばあさまもスラちゃんの動きに気が付いたのか、上手くピエロをスラちゃんの方に誘導していた。
ピエロはというと周囲を確認する余裕はなく、ティナおばあさまのレイピアを避けるので精一杯です。
そして、スラちゃんが一気にピエロの背後に近づきました。
シュッ、ぐさっ。
「あーーーーー!」
だからスラちゃんよ、何でいつも悪人のお尻に触手を刺すの?
しかもカウンター気味に決まったから、いつもよりも威力が増していた。
ピエロは短刀を落としてお尻を抑えながら叫んでいたけど、敵ながらあれはとっても痛そうだ。
そしてスラちゃんよ、ピエロの後ろでふにゃふにゃと謎の踊りをしないの。
僕は思わず溜息をつきながら、ピエロに向けて魔力ドレインを発動しました。
シュイーン、もわーん。
「うぐっ、うぐ……」
あっ、ピエロはお尻の痛みのあまりに自身の魔力が奪い取られているのに全く気が付いていない。
ちょっと大丈夫かなと思いつつ、魔力を奪い切ったので僕はティナおばあさまの方を向いて頷きました。
ティナおばあさまも僕に頷いたあと、ピエロに近づいた。
シュッ、バシッ。
「グフッ……」
ティナおばあさまはピエロに当て身をして、意識を奪い取りました。
そして、魔法使い用の魔導具を足に付けて、魔力が回復しないようにします。
その上で、気絶したピエロを厳重に拘束しました。
からーん。
「あっ、仮面が取れた!」
「魔力で顔に張り付けて取れないようにしてたのでしょうね」
ピエロの魔力が空っぽになった事で、今まで付けていた道化師のお面が地面に転がった。
そしてピエロの素顔は、どこにでもいそうな頭頂部がはげたおじさんだった。
うーん、もっと悪人面をした男性かと思ったけど、完全に予想外だったよ。
でも、鑑定しても間違いなく闇ギルドナンバーズのピエロって表示されていた。
「あたしも初めてピエロの素顔を見たけど、意外と冴えないおじさんだったのね。でも、雰囲気はピエロそのものだわ」
オカマさんもピエロの素顔を見て、何だか拍子抜けしています。
自分たちの元トップが、見た目は普通のおじさんだったのだから。
その間にジンさんとレイナさんがピエロの身体検査をするけど、まあ色々なものが次から次へと出てきました。
教皇国での対応の為、事前に教皇猊下より聞いていた聖騎士団の施設にスラちゃん倒した闇ギルドの構成員を運び込みます。
そして、応援の聖騎士と共に教皇猊下もやってきました。
「皆さま、協力感謝する。この地は怪しいのではないかと、こちらにも情報が入ったところだった。このあと、聖騎士団による捜索を続けよう」
「教皇猊下、教皇国での我々の対応、大変失礼しました。後はお任せいたします」
「事前に連絡を受けていたし、何も問題はありません。ティナ様にとってピエロは因縁の敵ですが、我々にとってもピエロは因縁の敵です。厳重に監視をして、処分をいたします」
連行されるピエロを眺めながら、教皇猊下がしみじみと語っていた。
各国にとってもピエロは大悪人だから、ある意味憂いの元が無くなる事になる。
奇襲をしかけたってのもあって呆気なく終わったけど、これで闇ギルドへの対応は一つの区切りを迎えた。
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