八百五十八話 奇襲作戦開始!
しゅっ。
お店が閉店して暫くすると、尾行をしていたスラちゃんがお店に戻ってきた。
どうも、尾行は上手くいったみたいで、やったって感じで触手をふりふりとしていました。
「遺跡みたいなところに行ったって。鑑定したら、間違いなく闇ギルドの構成員だったって」
「なら、間違いないわね。前の拠点の近くに、古い遺跡があるのよ。それこそ、昔の宗教施設の名残だからピエロにとっては原点回帰の場所になるわね」
リズのスラちゃんの通訳の内容に、オカマさんも予想通りといった感じでニヤリとしていました。
既に全員武装完了しているんだけど、オカマさんの服装が前の時とちょっと変わっていた。
ボディースーツを着ているのは前と同じなんだけど、物凄くごっついガントレットを装備していた。
更に、足にもごっつい足当てを装備しています。
イヨの装備を、更に派手にパワーアップした感じですね。
「私は格闘タイプだから、こうした装備を身につけるようにしたのよ。それに狭い場所になるから、格闘戦の方がいいと思ったのよ」
イヨの格闘技の師匠ってのもあるし、更に強力な魔法も使えるんだよね。
リズとスラちゃんが格闘戦もできるってシュッシュとパンチを繰り出しているけど、流石に一人と一匹ではオカマさんに勝てないでしょう。
というか、ティナおばあさまも拳をポキポキと鳴らしているのは僕の気のせいだと思いたい。
そして、簡単な作戦会議を行うことに。
「まず、アレクとプリンの広範囲エリアスタンをぶち込んで、更にリズとスラちゃんの浄化をぶち込む。これで、大半の奴は無効化できるはずだ」
先手必勝ってことで、多くの敵を潰せれば僕たちも有利になる。
この二つの魔法を防ぐってことは強敵が残る事になるけど、僕たちもとっても強い面々が控えています。
そしてピエロの扱いについても、ティナおばあさまが言及しました。
「ピエロに関しては、生死を問わずって指令が出ているわ。ふふ、どうやって仕留めてあげようかしら」
わあ、ティナおばあさまが不敵に笑っているよ。
長年の宿命の敵と相対するとあって、気合いの入り方が半端じゃありません。
ジンさんは、別の意味でピエロとの戦いに臨んでいました。
「奴を倒せば、各国に蔓延る組織の壊滅に繋がる。闇ギルド対応も、ひと段落するってことだ」
僕とリズの両親を殺害して、ティナおばあさまの旦那さんを殺害した因縁の相手を壊滅させることができる。
ある意味、僕とリズにとっても避けられない相手です。
そして、全員の準備が整ったところで、スラちゃんの転移魔法で現地に向かいます。
既に、僕とプリンは魔力を食べています。
「じゃあ、行くわよ」
ティナおばあさまの掛け声に、僕たちはこくりと頷きました。
スラちゃんが触手をフリフリとして、いよいよ敵の拠点に向かいます。
しゅっ。
敵の陣地に着いたところで、素早く探索魔法を使って相手の位置を確かめます。
うん、これなら範囲も大丈夫です。
僕とプリンは、溜めた魔力を一気に開放しました。
シュイーン、バリバリバリ!
「「「ぎゃー!」」」
敵の叫び声が、周囲に響きます。
今日のエリアスタンは結構強力で、まともに受けたら体が麻痺して全く動けなくなります。
続いて、リズとスラちゃんの浄化魔法が周囲に放たれました。
シュイーン、キラリーン!
「なっ、体の力が抜けていく……」
どうもリズは合わせて状態異常回復魔法まで放ったみたいで、僕とプリンのエリアスタンを防いだ敵のドーピング状態も解除したみたいです。
こうなると、もう僕たちの敵ではありません。
「おらあー!」
バシン、ボカン!
「グハア!」
おいたモードになったオカマさんが、容赦なく闇ギルドの構成員を殴り飛ばしていきます。
といっても、殺しはしないで戦闘不能にしているだけですね。
僕たちも、武器を手にして一気に敵を戦闘不能にしていきます。
そんな中、ティナおばあさまが身体能力強化を最大限にして一気に奥に突っ込んでいきました。
「ピエロー!」
「ぐっ」
ティナおばあさまは、因縁の敵にレイピアを振りかざしていました。
一方で、ピエロは突然の襲撃で虚をつかれたのか全く戦闘体勢を取れていませんでした。
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