八百四十六話 追加情報はなかった
折角なので、カレン様と教皇猊下にもオカマさんに話を聞いて貰うことになりました。
「といっても、本当に何も情報がないのよ。確かにあたしたちナンバーズと、ピエロとドクターは別枠だったし、前にも話したけどドクターが何をしているかは機密だったわ」
「となると、闇ギルドでも更に上層部でないとピエロやドクターの素性は知らないというのか」
「教皇猊下、正解よ。どうも魔獣化の薬も、潰れた教団の知識を応用した物らしい事しか知らないわ」
うーん、やっぱりオカマさんは前に聞いた情報以上は知らないんだ。
となると、これ以上何かを聞くのは無理ですね。
でも、オカマさんがとある事を提案してきた。
「そうだわ、元の教団関係者から話を聞いてあげるわ。何か情報を知っているかもしれないわね」
「王国だけでなく、教皇国からもお願いしよう」
「任せてね。私だって、もうおいたはしないでお料理に専念したいもの。各国に支店を出すのが目標よ」
僕は、オカマさんなら数年で各国に出店できるだけの手腕があると思っています。
それに、もしかしたら今の闇ギルドに近い人がいるかもしれないね。
暫く待つことになったので、これでお話は終わりです。
しかし、オカマさんは別の事で話がありました。
ぎゅっ。
「うう、イヨがこんなにも明るくなって……」
「暑い、暑苦しい」
オカマさんが、イヨを抱きしめて頬ずりしながら号泣しています。
当のイヨは、思いっきり嫌そうな顔をしているけど。
でも久々の再会だし、今日はこのくらいは我慢してほしいね。
「ローリーちゃん、あたしのお店はどうだったかしら?」
「はい、噂に違わずとっても美味しかったです」
「あらあ、そう言ってくれるととってもありがたいわ。また遊びに来てね」
オカマさんとローリーさんも、もうすっかり仲良しですね。
話を聞くために、近々オカマさんのお店を訪れるのは確定ですしね。
こうして、僕たちは僕の屋敷に帰りました。
「うーん、やっぱり新しい情報はなかったですね」
「こればっかりはね。でも、調査してくれるというしその結果を待ちましょう」
応接室に移動して、僕はティナおばあさまとジンさんとローリーさんとお話します。
リズ達は、庭でドラちゃんと遊んでいます。
ドラちゃんが遊ばれていると言った方が、もしかしたら表現は正しいのかもしれませんが。
「資金集めに苦労しているのは間違いない。今回、奴らは大金を得るのにも失敗したのだからな」
「ええ、組織を動かすにはお金が必要よ。それがないのは、とても厳しい事ね」
ジンさんもティナおばあさまも、サギー男爵領での一件が大きいのではと思っているみたいです。
もしサギー男爵の資金が手に入っていたら、状況は変わっていたかもしれない。
「窮地に陥った闇ギルドが、軍などの施設を襲撃して武器などを強奪する可能性はありますか?」
「可能性はあるだろう。強奪するまでもいかずとも、テロ行為で軍の機能を低下させる事も考えられる」
「ただ、流石に各国の軍の施設の警戒は厳重よ。そう簡単に負ける事はないわ」
僕の考えに、ジンさんとティナおばあさまが意見を付け加えた。
となると、やっぱり暫くは調査待ちになりますね。
「さて、今日は折角だからゆっくりしましょう。体を休めるのも、お仕事の一つよ」
「そうだな、冒険者も体を休めるのは大切な仕事だ」
「そうですね。アレク様は、日頃から働きすぎです」
難しい話はこれで終わりにして、午後はまったりと過ごすことになりました。
ふと庭を見ると、リズ達がドラちゃんと追いかけっこを始めていました。
本当に元気だねって、みんなで笑いあっていました。
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