八百四十五話 試食タイム

 ちょうど厨房のテストをしているらしく、そのまま席について待つことに。

 新メニューを作っているので、感想を聞かせて欲しいらしいです。

 しかも、他にも試食を頼んでいるそうです。


 カランカラン。


「こんにちは」

「「あっ、カレンちゃんだ!」」


 お店に入ってきたのは、まさかのカレン様だった。

 オカマさん、試食に聖女様を呼ぶって……

 お付きのシスターさんも、普通にお店に入ってきました。


「皆さんは、どうしたんですか?」

「オカマさんに聞きたいことがあったの。そうしたら、王都にお店を出したって聞いたの」

「まあ、そうだったんですね」


 もう一つのテーブルに座ったカレン様一行に、リズが僕たちがお店に来た理由を教えます。

 カレン様も、あまり深く詮索はしません。

 その間に、料理が出来上がったみたいです。

 オカマさんが、両手にお皿を持ってこちらにやってきました。


「はあい、お待たせ」

「「「わーい!」」」


 とても良い匂いのする料理に、ちびっ子軍団は大盛りあがりです。

 さっそく小皿に取り分けて食べ始めました。


「「「おいしー!」」」

「あら、良かったわ。美味しいって言ってもらえるのって、とっても嬉しいのよ」


 肉と野菜炒めに、少しピリ辛の味付けのソースのお肉です。

 でも、ご飯が進む味付けですね。

 ちびっ子軍団は、もりもりと食事を食べています。

 もちろん、カレン様も同じです。


「うん、これはとても美味しいですわ。食が進みます」

「うふ、ありがとうね」 


 カレン様もシスターさんも、小皿にドンドンと料理を盛り付けていました。

 元々オカマさんの料理はとても美味しかったし、新作料理も美味しいですね。


「今ね、皇都だけでなく三号店の出店も計画しているのよ。だから、本当に忙しいわ。それでも、新作は考えるわよ」

「忙しそうね。うーん、酒のつまみにスパイスチキンとかどうかしら?」

「ティナ様の意見、採用するわ。とってもいいアイデアよ」


 ティナおばあさまも、普通に料理を楽しんでいます。

 オカマさんなら、スパイスチキンは直ぐにできそうですね。

 そして、オカマさんの店に来るのを楽しみにしていたローリーさんはというと……


「本当に美味しいです。王都でもここまで美味しい料理はないですわ」

「そう言って貰えると、とっても嬉しいわ。ドンドンと食べてね」


 既にローリーさんはオカマさんの容姿など全く気にせずにいて、料理を美味しそうに食べています。

 こうして、普通に試食会は終わりました。

 もちろん、料金は安いけどキチンと支払います。


「「「じゃーねー!」」」

「また来てね」


 これからお昼寝のちびっ子軍団は、オカマさんに手を振って僕の屋敷にゲートで向かいました。

 カレン様は、教皇様を呼んでくるそうです。

 そして、店内に入ってきた教皇様が一言。


「儂も試食したかった……」


 思いっきり項垂れていました。

 どうも今日はミサが忙しくて、昼食時まで仕事をしていたそうです。

 腹ペコでは可哀想というので、オカマさんがちゃちゃっと昼食を作ってあげました。

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