八百四十四話 二号店
その後は普通に薬草採取を行います。
でも、今日は昼食を教皇国で食べるので、少し早めに終わりにします。
ダッダッダッ。
「グ、グルル……」
「ブルル」
それでも、僕たちが薬草採取をしている傍らで、ドラちゃんがポニさん監修で街道を走っていました。
うん、結構容赦なく指導していますね。
「こうやって、薬草を採るんだよ」
「沢山生えているんだよ」
リズは、エレノアと共に初心者冒険者に薬草採取のやり方を教えています。
薬草採取の名人を目指す道のりも、着実に進んでいますね。
こうして、二時間でたっぷりと薬草が採れました。
僕達は、冒険者ギルドで薬草を卸してから屋敷に戻りました。
「グ、グ、グルル……」
うん、森の中を走り回ったからかドラちゃんは疲労困憊ですね。
屋敷の庭の定位置に移動したら、動かなくなっちゃいました。
寝ているドラちゃんのところに、またもや野良猫がやってきていました。
「こう見ると、ドラゴンではなく大きな猫みたいですね」
「あっ、あはは……」
ローリーさんの的確な指摘に、僕は何も言い返せなくなりました。
そして、みんな屋敷に入りました。
森に入って汚れたので、順番に汗を流しに行きます。
僕とジンさんは、一番最初にちゃちゃっとお風呂に入りました。
今は、ちびっ子軍団がレイナさん達とお風呂に入っています。
その間は僕達はまったりタイムなんですけど、美味しい昼食を食べる為に間食は我慢しています。
「どんな料理を頼もうかな? とっても楽しみ!」
「私は、イジられそう……」
リズ達はお風呂から出て髪の毛を乾かしているけど、テンションが高いリズに対してイヨのテンションはかなり低かった。
オカマさんはイヨのことをとても審判している分、過剰なリアクションをするもんなあ。
ドタドタドタ。
「「「でたよー!」」」
「こら、ちゃんと頭を拭きなさい!」
ここで、元気いっぱいなちびっ子軍団が着替えも終えて応接室に入ってきた。
レイナさんがタオルを持って追いかけてきたけど、こっちに来たらスラちゃんが風魔法を使ってドライヤー代わりに髪を乾かしていました。
三十分もすれば、全員の準備が完了です。
僕達は、教皇国にあるオカマさんのお店に向かいました。
しかし、ここで予想外の展開が。
「店長は、二号店開店準備の為に皇都に行っております」
「「「えー!」」」
何回か対応してくれた店員さんが、凄いことを教えてくれた。
というか、お店大繁盛しているんだ。
予想外の展開に戸惑いつつ、僕達は皇都に向かいました。
「確か、大教会近くにお店を構えているって聞きましたけど……」
「あっ、あれじゃないかな?」
リズが目ざとく見つけたお店は、外装を綺麗にしていてとても新しく感じた。
大教会の目の前にあって、立地条件は最高に良いですね。
準備中って看板が出ていたけど、僕達はお店に顔を出しました。
カランカラン。
「「「こんにちわ」」」
「うん? あやらだ、お店に来てくれたの?」
「「「そーだよ!」」」
「まあ、嬉しいわ」
お店の奥からオカマさんが顔を見せると、ちびっ子軍団は普通にオカマさんの方に歩いていった。
それに対して、ローリーさんはオカマさんを見て思わず固まってしまった。
うん、気持ちは良く分かります。
オカマさんも、初めて会うローリーさんに気がついたみたいです。
「あらあ、この綺麗な子は誰かしら?」
「あの、ローリーさんといって、僕の秘書さんです」
「は、初めまして……」
「アレク君の秘書さんなのね。アレク君も随分と出世したわね」
ローリーさんはオカマさんの圧力に押されつつも、何とか握手をしていました。
顔は、未だにビックリしたままだったけど。
「イヨはとても元気そうね。ちゃんとご飯食べている? 風邪ひいていない?」
「大丈夫、問題ない」
そして、オカマさんはさっそくイヨに話しかけていた。
口調を聞く限り、やっぱりイヨの事を心配しているんだね。
イヨはというと、相変わらず塩対応だけど。
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