八百四十三話 頑張れドラちゃん!

 そして安息日になったけど、午前中は辺境伯領で薬草採取をする事になりました。

 オカマさんのお店に行くティナおばあさま、ちびっこ軍団、ローリーさんはもちろんのこと、ジンさん達も一緒についてきました。

 そして、今日はこの一匹にも頑張って貰う事になりました。


「ドラちゃん、頑張ろうね!」

「グルル!」


 僕の屋敷で暮らしている飛竜の子どもも、今回の薬草採取に参加します。

 ミカエルがドラちゃんと名付けたら、それが定着してしまいました。

 ポニさんやポッキー達もいるし、戦力はバッチリです。

 ということで、準備ができたのでさっそく森に向かいます。


「あ、あのあの、竜が襲ってくるって事は……」


 新人冒険者として男の子三人がついてきたんだけど、飛竜の子どもを見ておっかなびっくりしています。

 従魔に飛竜がいるなんて、普通は考えられないよね。


「大丈夫だよ! とってもおとなしいよ!」

「それに、あんまり強くないよ!」

「グルル……」


 だけど、普段一緒にいるミカエル達の評価は酷かった。

 というか、ブリットのあんまり強くないのはちょっと酷い評価じゃないかな?

 流石に、ドラちゃんも落ち込んでいますよ。

 まあ、ドラちゃんの背中にポッキー達マジカルラットが乗っている事を考えると、自ずと力関係が分かりそうです。

 そして、森に到着です。

 すると、ちょっとした変化が。


 がさがさ。


「ガウッ!」

「ガウガウ」

「あっ、くまちゃんだ!」

「お嫁さんだって!」

「「「お嫁さん!」」」


 なんと、あのくまが嫁のくまを連れてきていた。

 嫁のクマも僕達を攻撃する意思はないので、ミカエル達も普通にくまに会いに行っていました。

 仲の良いくまにお嫁さんができて、ミカエル達もとても嬉しそうですね。

 その間に、ドラちゃんへのスパルタ教育が始まっていました。


 バシッ、バシッ。


「グルル!」

「ブヒー!」


 中々の大きさのイノシシが現れて、飛竜の子どもが飛びながらイノシシにアタックを繰り返しています。

 イノシシも飛竜に怯むことなく、威嚇して襲っています。


「キュー!」

「ブルル」


 そんな二匹の戦いを見守っているスラちゃん、プリン、ポッキー達、ポニさん達の姿が。

 怪我しても直ぐに治療できるので、ある程度まで様子を見ています。


「あのイノシシなら、普通の冒険者が倒せるレベルですね」

「初心者には無理だが、倒せれば普通の冒険者の仲間入りだ」

「そうね。レベルもあるけれど、イノシシくらい倒せないと普通の冒険者とは言えないわ」


 ジンさんとレイナさんが、目の前の戦いを見てウンウンと頷いていた。

 あのくらいのイノシシなら王国中どこにでもいるし、ある意味強さの指針になるかも。

 そして、新人冒険者にジンさんが話しかけていた。


「自分の身を守る事も、冒険者の仕事のうちだ。今は基礎をしっかりと固めて、着実に力をつけるように」

「「「はっ、はい!」」」


 目の前の戦いを見れば、ある程度の強さが必要なのはよく分かります。

 ドラちゃんも頑張って強くなっているけど、もっと強くなれるよね。


「おとーさん、レイカなら倒せるよ!」

「ああ、うん、お前らは強いから気にするな」


 くまのところからこっちにちびっ子軍団がやってきたけど、みんなとても強いからイノシシなんてあっという間に倒すだろうね。

 そんな目の前の戦いも、遂に決着がつきました。


「ガルル!」


 ザシュ!


「グフッ……」


 ドタン!


 ドラちゃん渾身の急滑降攻撃がちょうどカウンター気味に決まり、イノシシを倒し切りました。

 ドラちゃんのところに、ちびっ子軍団がニコニコしながら駆け寄っていきました。


「「「おおー、たおした!」」」

「グルル!」


 治療してもらいながらも、ドラちゃんは得意げにしています。

 そんなドラちゃんを、ちびっ子軍団が全力で褒めていました。

 因みに、ドラちゃんが倒したイノシシはスラちゃんとプリンが血抜きをして、後で納品する事になりました。

 そんな得意げなドラちゃんに向かって、いななく存在が。


「「「ブルル」」」

「今度は、ブッチーが稽古をつけるってよ」

「が、ガウ?」


 あーあ、ちょっと調子に乗っちゃったからポニさん達が護衛をしながらドラちゃんの相手をするって事になりました。

 突然の展開に、ドラちゃんもビックリしています。

 ポニさんたちは、ゴブリンキングも余裕で倒すほどの力があるもんなあ。

 こうして、僕達が薬草を集めている間、ポニさん達によるスパルタ教育が再開しました。

 ドラちゃんも、頑張って強くなりましょうね。

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