八百四十二話 オカマさんと会う事に
本日も、別のスラム街で炊き出し作戦を続けます。
といっても、僕は普通にお仕事をしています。
あのドクターの件で、簡単な会議をしています。
参加者は、陛下、宰相、軍務卿、ティナおばあさま、僕です。
最初に、軍務卿が状況を説明します。
「ドクターは雑談には応じますが、肝心の聴取にはのらりくらりとしています。分かっているのは、元々どこの組織にも所属していない研究者で、何かのタイミングでピエロ配下になって研究を続けていたそうです」
「ドクターは常にピエロと一緒にいるイメージがあった。何となく予想は出来ていたが、ドクターはナンバーズの中では特殊な地位にあったのだろう」
陛下が説明を聞いて率直な感想を漏らしていたけど、僕もドクターは他のナンバーズと違った扱いを受けていたと思っていた。
少なくとも、あのオカマさんとかとは別な気がします。
「既に過去の事件に関する証拠などを多数抑えておりますが、いまドクターを処刑するのは得策ではないかと。少なくとも、ルーシー殿下の入園が終わってからが良いかと存じます」
「余もそう思う。闇ギルドが卒園式や入園式でどの様な事をしでかしてくるのか予想がつかない以上、下手に手を出さない方が良いだろう」
軍務卿も陛下も、ドクターの取り扱いはとても慎重です。
僕もドクターの言っていた、近い内にお目にかかるという意味が良く分からないんだよね。
今は、何事にも対応は慎重にが基本線です。
そして、僕はとある事を提案してみました。
「今度の休みに、オカマさんのお店に行って話を聞いてきましょうか?」
「うむ、許可しよう。ドクターの過去の情報なども、少しでも聞けるだけでも意味はあるだろう」
「私も同行するわ。直接話を聞いてみたいのよ」
という事で、次の安息日にみんなで教皇国に行く事が決定しました。
久々にイヨをオカマさんに会わせて、近況報告をするだけでも違うかも。
ドクターに関する話は終わったので、いつも通りにお仕事に戻ります。
「炊き出しの方は、何も問題なさそうです。レイナさんとカミラさんは、料理をさせない様に娘と息子が監視しているそうですよ」
「うぅ、母親に料理をさせないために幼い娘が監視しているとは。孫が不憫でならない……」
今日はルーカスお兄様も炊き出しに参加しているのだけど、報告内容が凄かった。
宰相は、娘のストッパーとなっている娘を思って号泣していた。
母親の料理を娘が楽しみにしているのが、普通の光景だよね。
「ほらほら、レイナちゃんの料理下手は今に始まった事じゃないでしょう。諦めて仕事に戻りな」
「うぅ……」
シーラさんにトドメの一撃をくらいながら、宰相はメソメソしながら仕事を始めていました。
やはり、破壊王のデズ料理の一件がかなり尾を引いていますね。
そして夕方になって炊き出しから戻ってきた面々に、今度の安息日の予定を伝えました。
「「「おおー! 行くー!」」」
ちびっ子軍団も、一緒に行こうと手を挙げてきた。
どうも、とても美味しいご飯が食べられるお店だと聞いたことがあるみたいだ。
もちろん、リズ達も一緒に行きます。
ここで、予想外の人が手を挙げてきました。
「あの、私もご一緒しても良いでしょうか? 教皇国内でも、トップクラスの料理屋だと聞いていまして」
「「「一緒に行こうー!」」」
なんと、手を挙げたのはローリーさんでした。
オカマさんのお店は、そこまで有名だったんだ。
でも、料理はともかくとして、オカマさんの姿を見て度肝を抜かれなければいいなあ。
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