八百四十七話 面倒くさい面会者
そうこうしている間に、学園の卒園式が近づいてきました。
とはいえ、事前準備は終わっているので僕は当日を待つばかりです。
教科書の意見を聞くために街の人から話を聞いていたけど、それもだいたい終わりました。
ちなみに、僕たちが集めた意見が教科書に反映されるのは来年からの予定です。
「エリちゃん、こっちだよー」
「あう!」
「ガゥ」
今日はアリア様が面会で不在なので、宰相執務室にエリちゃんがいます。
エリちゃんも元気よく歩けるようになり、今もエレノアに呼ばれて飛天虎の子どもと一緒についてきた。
飛天虎の子どもは既に大型犬の大きさを超えているけど、まだまだ子どもです。
「エリちゃん、ねこちゃん、こっちだよー」
「あー!」
「ガゥ!」
そして、いつもみんなが飛天虎の子どもをねこちゃんと言っていたので、正式な名前もねこちゃんとなってしまった。
成長して全然猫とは思えない大きさだけど、ゴロゴロと甘えるのは猫っぽいんだよね。
今も、リズに顎下を撫でられてとてもご機嫌です。
ちなみに、ねこちゃんはルーカスお兄様のマジカルラットとアイビー様のアマリリスに鍛えられているので、そこそこの強さはあります。
間違いなく、ドラちゃんよりも強いですね。
今日は調査もないので、特別調査部隊もジンさんたち以外も宰相執務室にいます。
ルカちゃんとエドちゃんとレイカちゃんは、勉強部屋で勉強中です。
「いやあ、ほのぼのとして癒やされますね」
「ええ、仕事のストレスが抜けていきます」
職員も、仕事の合間にエリちゃんたちを見て癒されています。
たまにエリちゃんのおむつ交換があるけど、子育てのプロのシーラさんがいるから全く問題ありません。
すると、昼食前にある人が宰相執務室に入ってきました。
「あら、みんなここにいたのね。ねこちゃんも含めてちょっと来てくれるかしら?」
「「「?」」」
執務室にティナおばあさまが入ってきて、女性陣を全員連れていきました。
確かティナおばあさまも、アリア様と一緒に会談に出ていたはず。
何かあったのかな?
どーん。
「宰相、何かあったのですかね?」
「私は、目の前の書類の山の方が気になるよ……」
宰相も特に何かあるとは聞いていなかったらしく、気落ちしながら書類を確認し始めた。
まあ大丈夫だろうと思いつつ、僕たちは仕事を進めました。
そして、何があったかは昼食時に教えてくれました。
「お兄ちゃん、宝石を沢山つけた香水臭いおばさんがプリンちゃんの事を馬鹿にしていたんだよ!」
「スライムって、馬鹿にしたの。でも、ねこちゃんを見たら驚いちゃったよ」
リズとエレノアがわーわー言いながら話していたけど、今日はプリンがアリア様の護衛としてついていた。
どうも、悪者ではないが口が悪い人らしいので、念の為に警戒していたという。
宝石自慢から始まり、従魔の話にもなったという。
そして、王家はスライムをペットとして飼っていると言ったらしい。
そこで、ねこちゃんに乗ったエリちゃんの登場です。
しかも大きい飛天虎なのに猫のようにアリア様に甘えているので、口の悪い女性はだんまりしてしまったという。
「どうでもいい事でマウントをとるから、いつも話の相手をしていて精神的に疲れるのよ」
「まあ、これでマウントを取ることはできなくなったし、お茶会の順番も一年以上先でしょう」
食事を食べながらアリア様とティナおばあさまが愚痴をこぼすけど、僕もそんな相手とは話をしたくないなあ。
それはリズ達も一緒みたいで、一緒にお茶会に参加したくないという。
リズたちもその女性を悪人とはみていないので、余計に面倒くさいのだろうね。
プリンはスライム呼ばわりされたので、昼食中もぷりぷりと怒っていました。
外見だけを見て、中身を見ない人って多いよね。
うちも、飛竜のドラちゃんを見たらカッコいいと思うけど、いつも野良猫と一緒にゴロゴロしてるもんなあ。
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