八百三十五話 次は炊き出しのお手伝い
こうして、二時間で全ての大部屋の治療を終える事ができました。
だいぶ時間が余ってしまったので、僕たちも炊き出しの方に合流します。
「いっぱい治療したね!」
「したね!」
張り切って治療をしたルカちゃんとエドちゃんは、ニコニコしながら手を繋いで歩いていました。
治療しながら色々な人とお話できて、とっても楽しかったみたいですね。
途中、余計な事も話していましたが。
ともあれ、良い経験にはなったみたいです。
「はーい、順番に並んで下さいね」
「沢山あるから、大丈夫ですよ」
そして、大教会前で行っている炊き出しにも、沢山の人が並んでいた。
ルシアさんとルーシーお姉様が並んでいる人に声をかけているけど、これは列整理も大変そうです。
流石にルカちゃんとエドちゃんに列整理をさせるわけにはいかないので、直ぐにアイビー様が動いてくれた。
その間に、僕とスラちゃんは炊き出しの料理を手伝います。
「シスターさん、今日は沢山の人が並んでいますね」
「ええ、そうですね。どうも小さな子がお手伝いしているのもあって、普段よりも女性や子どもが多く並んでいます」
レイカちゃん達はサギー男爵領での炊き出しを経験しているので、結構手際よく配膳しています。
そして、主に女性から頭を撫でられていますね。
「僕も配るよ!」
「私も!」
「「やるー!」
そして、治療班も配膳に加わってどんどんとスープの入ったうつわを配っていきます。
リズ達は、アイビー様とプリンと一緒にある事をしています。
「あっ、何かしているよ! アマリリスちゃん!」
シュッ、バシッ!
「がっ、何故分かった?」
「善意の炊き出しでスリをするなんて、良い度胸ですわね」
リズとプリンの勘に加えて他の人も目が良いから、アマリリスがどんどんと不審者を縛り上げていきます。
現行犯なので、縛られた者も言い訳ができません。
お陰で、教会所属の聖騎士が縛り上げた不審者を忙しく運んでいます。
このくらいは、特になんて事ないですね。
トントントン、トントントン。
「アレク様は、本当に包丁の使い方がお上手ですね。幼い頃より更に上達されておりますわ」
「家に腹ペコなのが沢山いるので、未だに料理をする時があるんです。プリンはよく作りますよ」
「ふふふ、アレク様は良いお兄ちゃんでふわね」
シスターさんと話をしながら炊き出し用の野菜を刻んでいるけど、そういえば僕が王都で炊き出しをした時にレイナさんとカミラさんが食材ごとまな板を切断していたっけ。
それに、家にいる腹ペコ怪獣は沢山いるんだよなあ。
お隣には、僕のプリンを食べる大人の腹ペコ怪獣がいるけど。
こうして無事に炊き出しのお手伝いも終わり、今日の依頼は完了しました。
「「「またくるねー」」」
「はい、お待ちしておりますわ」
来週は軍の施設での治療だけど、こうした住民との触れ合いをする依頼も良いですね。
僕達は、冒険者ギルドに移動して完了手続きをしてから王城に戻りました。
僕達は炊き出しで昼食を食べちゃったけど、王家の人々はまだ食堂にいるらしいです。
全員で食堂に入った時でした。
「「「ただい……」」」
「あなた、また私達のデザートを食べたでしょう!」
「ふふふ、食の恨みは恐ろしいですわよ。キッチリとお話しましょうね」
「これは、その、あー!」
目の前で、王妃様とアリア様が陛下を説教しているところに出くわしました。
僕達は、思わずぽかーんと固まってしまいました。
「やっぱり怖いね」
「怖いよ……」
そして、ルカちゃんとエドちゃんが怒れる母親を見てポツリと呟いていました。
うん、確かにあの厳つい冒険者よりも王妃様とアリア様の怒った顔の方が怖かった。
「はいはい、みんなお帰りね。暫くゴタゴタしそうだから、アレク君のお家でお昼寝してきたらどうかしら?」
「「「はーい」」」
そして、ティナおばあさまのナイスアシストでこの場から離れる事になりました。
ちびっ子軍団はいっぱい動いてクタクタだったので、僕の屋敷のミカエルの部屋で仲良くお昼寝をしていました。
ルーカスお兄様達も、僕の屋敷に来て休んでいました。
「ガウッ!」
「「「まてー!」」」
そして、お昼寝から目が覚めたら庭で飛竜の子と追いかけっこをしていました。
飛竜の子の身体能力強化が目的なんだけど、何だかちびっ子軍団の方が足が速いように思いました。
因みに、その日の夜の陛下の夕食はとても質素な物になったそうです。
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