八百十五話 今後の方針
王城の会議室には、既に陛下を始めとする閣僚が待ち構えていました。
事前に僕が多くの事を報告しているので、ここでは現時点での対応だけ報告します。
「最悪の事態も想定していたから、ある意味想定内の事が起きたといえよう。あまり起きてほしくない事態だったがな」
「今後の方針としては、サギー男爵領へは国から役人を派遣し当分は直轄領扱いとする。サギー伯爵領と近くのバザール子爵領から食糧援助を行いつつ、予備費から当面の資金を確保する」
陛下の苦笑の後で、宰相がこの後の予定を淀みなく話した。
既に派遣する役人も決まっているそうで、準備が出来次第僕に連絡をして一緒に現地に向かうそうです。
そして、どちらかというと陛下や閣僚はこちらの報告の方をかなり気にしていた。
「『近い内にまた会う』とはな。一体何を指すのか分からぬが、奴らがろくでもない事を企んでいるのは間違いないだろう」
「我々がサギー男爵領の復興に注力している間に、奴らが何かをする可能性も否定できません」
陛下も宰相も、ドクターが去り際に残した言葉を非常に気にしていた。
闇ギルドが何を引き起こすつもりなのか全く分からないけど、何かを企んでいるのは間違いない。
とはいえ、僕達は当分はサギー男爵領への復興作業でとても忙しい。
そこで、軍が中心となって闇ギルドの対応をしてくれる事になりました。
「魔導船の新造艦もできましたので、稼働テストを兼ねて王国中を確認いたします」
新造船は三隻できたそうなので、既に就航している魔導船と併せて空から偵察をするそうです。
更に外務卿経由で、各国にも情報共有する事になりました。
そして、サギー男爵家で起きた事を、各貴族に周知する事になりました。
「内容はあえてそのままを伝える。闇ギルドに加担した末路を、今一度全貴族に知らせなければならない」
「闇ギルドを危険視して、裏切る貴族が出てくるかもしれませんね」
「中々難しいと思うがのう。情報提供というか、闇ギルドに加担すると破滅になるという予防策となるだろう」
既に陛下から内務卿経由で指示が出ていて、通信用魔導具を保有するなどの通信手段がある貴族へは本日中に周知するそうです。
闇ギルド関連はこれでひとまずの対策が決まったので、僕達はサギー男爵家の屋敷に戻る事になりました。
「先々代夫人よ、暫くは苦労をかけるが民の為に頼むぞ」
「謹んで承りました」
帰り際に、陛下が先々代夫人によろしく頼むとお願いしていた。
今は、サギー伯爵家がサギー男爵領を安定に導く鍵になるから、先々代夫人が果たす役割は非常に大きいだろう。
先々代夫人もその事は理解していて、とても引き締まった表情で陛下に臣下の礼をしていました。
そして、サギー男爵家の屋敷に戻って、主要メンバーに会議で決まった事を報告しました。
「まあ、無難な対応ね。当分は物資の配給を行いつつ、公共工事とかでお金を回すしかないわ」
「その間の炊き出しや治療に治安維持をするのが、私達の当分の仕事ね」
直ぐにレイナさんとカミラさんが、当分の予定を把握してくれた。
レイナさんとカミラさんは凄腕の冒険者だから、余計な説明が省けてとても助かります。
他の人達も、同様に当分の予定を理解してくれました。
「僕は王城でのお仕事があるので、明後日までサギー男爵領に残る予定です」
「アレク君に王城での手続きをしてもらわないといけないから、それはしょうがないわよ」
「むしろ、宜しくって感じね」
重要な手続きは今日中に決まるけど、僕が王城でやる事は沢山あります。
みんなに現地の対応を任せる分、僕も頑張ってお仕事しないとね。
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