八百十四話 炊き出し開始!
「お兄ちゃん、何にもないよ」
「こっちにも何もないの」
リズとエレノアが執務室内を色々と探しているけど、書類のみで本当に金品とかは見当たらない。
他の部屋に行っても、宝石とかが少しだけあるだけでした。
更に、サギー男爵一家が全員捕まったので代理当主すら決まらないレベルです。
サギー男爵家は、実質的に破綻しているのと同じですね。
「とにかく、物資をまわさないとならぬ。我が家の御用商会を、このサギー男爵領に派遣させよう」
「では、先にカミラさんに連絡を取りますね」
「うむ、頼む」
サギー男爵領には食料が殆どないので、色々な所から食料を集めないといけない。
ただでさえ、住民だけでなく兵や屋敷の使用人まで飢えている状況です。
直ぐさま先々代夫人が動いてくれたけど、辺境伯様も動いてくれました。
「炊き出しをする必要がありますな。娘を呼んで準備をさせましょう。あと、バザール子爵領に食料の救援を求めましょう」
辺境伯様も、直ぐに手をうってくれました。
屋敷にいるジェイド様に連絡をしていて、エマさんとオリビアさんも来てくれる事になりました。
それにバザール子爵領は経済復興を果たして、食糧生産が劇的に回復しています。
僕も各地にゲートを繋いで、色々な人と物資を集めます。
トントントントン。
「おお、スライムが料理をしている。物凄い速さで野菜を切っておるのう」
「スラちゃんは、凄腕の料理人なんだよ! 直ぐに料理を作ってくれるよ」
僕が動けない代わりに、スラちゃんが屋敷の厨房で料理をしています。
スラちゃんの魔法を使った料理方法に、先々代夫人も感心していました。
リズはというと、エレノアと共に庭で臨時の治療を行う準備をします。
スラちゃんのスープの味見をして、それから庭に向かって行きました。
緊急事態なので、出向機関にいるニース侯爵とサギー伯爵家の屋敷にいるジンさん達とミカエル達も呼び寄せました。
「じゃあ、私達も炊き出しの準備を……」
「レイナ、カミラ、被害者が増えるだけだから、炊き出しに手を出すなよ」
「わ、分かっているわよ。ちょっとしたジョークよ」
レイナさんとカミラさんが炊き出しを手伝おうとしたので、流石にジンさんが止めに入った。
二人はとぼとぼとしながら、押収物の確認をするティナおばあさまのところに向かっていきました。
シュッ。
「お父さん、来たよ。野菜とかも沢山持ってきたよ」
「アレクサさんも、炊き出しを手伝ってくれるそうですわ」
「おお、すまんな。今日一日頼むぞ」
ポッキーがエマさん、オリビアさん、アレクサさんを辺境伯領から連れてきてくれて、炊き出しの方にまわってくれました。
これで炊き出しにかける人数は大丈夫です。
怪我人の治療もリズ達がいるから、一通りまわせるでしょう。
そんな中、ある意味残念なニュースが兵によってもたらされました。
「ザギー男爵家の御用商会の制圧が完了しました。ただ、金品は既に奪われた後でした」
「うむ、分かった。しかし、経済が破綻する状況まで追い込まれるとは闇ギルドもえげつないのう」
兵の報告を聞いたニース侯爵が、思わず苦々しい表情をしていた。
これで、直ぐに復興の原資に使えるのはないという事になります。
という事で、王城で緊急の会議が開かれる事になりました。
流石に先々代夫人が鎧のままなので、屋敷に戻って謁見用のドレスに着替えてから向かいました。
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