八百十二話 サギー男爵家に突入開始
そしてサギー男爵の屋敷に着いたけど、屋敷の前には既に僕たちを妨害する者が構えていた。
全員守備隊の服装ではなく、盗賊やならず者の服装だ。
もしかしてサギー男爵の私兵かなと思ったら、リーダーっぽい男が僕たちの前に出てきた。
「おらおら、ここを誰の屋敷だと思っていやがる。天下のサギー男爵様の屋敷だぞ! ぶっ殺されたいのか!」
ニヤリとしながら威勢よく話してくるけど、まともに相手にしては駄目な連中だ。
サギー男爵領の守備隊はというと、事の成り行きを見守っているだけだ。
なら、僕たちのやる事はただ一つです。
僕は、軍に命令しました。
「サギー男爵への捜索妨害と認定します。全軍、排除して下さい」
「「「はっ」」」
「けっ、俺達もそう簡単にやられてたまるかよ。お前らも、獲物を抜け!」
「「「おう!」」」
全軍が剣を抜いて構えると、目の前のならず者達もナイフを抜きました。
とはいえ、僕はこんな奴らとまともに戦って時間を潰したくありません。
僕は、隣りにいるリズ、エレノア、スラちゃんにアイコンタクトをしました。
直ぐに、二人と一匹が魔力を溜めます。
シュイーン、バシッ。
そして、ならず者目掛けて一気にバインドを仕掛けました。
ならず者は急に体を拘束されたので、軒並み地面に転がっていきます。
「な、何だこりゃ?」
「数人残って、ならず者を縛り上げて下さい。僕達は屋敷の中に入ります」
「「「はっ」」」
「おい、こいつを解きやがれ!」
ならず者が三十人以上いようとも、無効化してしまえば敵ではありません。
十人ほどの兵が、次々とならず者を縛り上げていきます。
その間に、僕達は屋敷の中に入っていきました。
「屋敷の周囲も警戒をして下さい。逃走をはかる可能性もあります」
「はっ」
残っている兵の半分を屋敷の周囲の警戒にあたらせて、僕たちは建物の中に入ります。
ここからは時間勝負だと思ったら、更に僕たちを邪魔する存在が。
「てめーら、誰の許可をとって屋敷の中に入っているんだ!」
うーん、さっきからこんなならず者しか遭遇しないぞ。
こんな連中を集めて、サギー男爵は一体何をしたいのやら。
僕とプリンは、少し呆れながらも軽く魔力を溜めました。
シュイーン、バリバリバリ!
「「「ギャー!」」」
いちいち相手にするのも面倒くさいので、ここはエリアスタンで一網打尽です。
体が痺れて暫く動けないはずだけど、念の為に兵に拘束させます。
その間にもならず者が何人か突っ込んできたけど、各個撃破していきます。
そして、僕は別件で気になる事が。
「使用人も、街の人と同じく痩せ細っていますね」
「栄養状態が悪いのでしょう。あまり良くないわね」
使用人が屋敷の遠くから僕たちの様子を見守っていたけど、街中に飢餓がまん延している証拠ですね。
対して、ならず者はがっしりとした体型だったよな。
ティナおばあさまも少し悲痛な表情をしていたけど、一刻も早く主犯を捕まえないと。
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