転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

七百九十四話 いよいよ冒険者登録の日です

　そして次の安息日になり、いよいよちびっこ軍団の冒険者登録をする日になりました。

「「「わくわく！」」」

　ルカちゃんエドちゃんに双子ちゃん、レイカちゃん達も着替えを済ませて準備万端です。

　早く冒険者ギルドに行きたくて、仕方ないって感じです。

「今日は、お兄ちゃんが色々と教えるよ！」

「「「お姉ちゃんもみんなに教えるよ！」」」

　ちびっこ軍団のボス的存在のミカエルに加えて、ブリット、メイちゃん、リラちゃんも、先輩冒険者として初心者組に教える気満々です。

　更に、この人達も保護者枠としてついてきました。

「私も、初めて冒険者ギルドにいった時はわくわくしたものだよ」

「私もですわ。昔の自分を見ているようですわね」

「ルカちゃんエドちゃんがニコニコしていて、いつも以上に可愛いわ」

　ルーカスお兄様とアイビー様、ルーシーお姉様も騎士服を着て弟の引率をします。

　ルーカスお兄様とアイビー様は普段は学園生活が優先だし、ルーシーお姉様ももうそろそろ入園します。

　なので、中々冒険者活動ができないので楽しむ予定です。

「ほらほら、張り切るのは良いけど周りの人に迷惑をかけちゃ駄目だよ」

「キュー！」

「「「はーい」」」

　実際に、ちびっこ軍団を先導するのはルシアさんとポッキーです。

　まるで、保育園の先生って感じですね。

　王妃様とアリア様とティナおばあさまも騎士服を着て準備完了だし、ジンさん達も準備は大丈夫です。

　ノエルさん達近衛騎士もいつでも動けるので、さっそく冒険者ギルドに向かいます。

「ブッチー、みんなの事を守ってあげてね」

「頼んだの」

「ブルル」

　ちびっこ軍団と仲良しのブッチー達も、リズとエレノアに答えながら僕たちと一緒に歩いていきます。

　もちろんスラちゃんとプリンもみんなを守るし、アマリリスやマジカルラット部隊もいます。

　うーん、ゴブリン千匹じゃなくて二千匹いても十分もあれば殲滅できそうです。

「あらあら、今日はみんなでお出かけかい？」

「「「ぼーけんしゃになるの！」」」

「そうかい、それは良かったわね」

　街の人もちびっこ軍団と顔見知りなので、ニコニコしながら声をかけてきました。

　こうして気軽に声をかけてくれるのって、とってもありがたいですね。

　色々な人に声をかけられながら、無事に冒険者ギルドに到着です。

　さっそく、冒険者ギルドの中に入ります。

　ガヤガヤガヤ。

　おや？

　何だか冒険者ギルドの中がざわざわとしているよ。

　人だかりもできているし、トラブルでも起きているのかな。

「なんだろー」

「なにかな、なにかな？」

　ちびっこ軍団も、人だかりを気にしているみたいです。

　といっても、冒険者になる為には最初にやる事があります。

「はいはい、最初に冒険者登録をしちゃいましょうね」

「冒険者登録をしないと、冒険者になれないわよ」

「あっ、そうだった！」

「はやくしないと！」

　王妃様とアリア様に指摘されて、ルカちゃんエドちゃんがみんなの手を引っ張りながら受付に向かっていきました。

　因みに、ちびっこ軍団が冒険者登録をするのを事前にギルドマスターに伝えているので、受付のお姉さんも準備万端って感じです。

　保護者達とリズ達も、みんなの方に向かっていきました。

「それじゃ、俺らはあの謎の人だかりに行くか」

「そうですね。危険な感じはしないですけど、人が集まっている理由を確認しないといけないですね」

「だよな。危険はないけど、面倒くさい事になっていそうな気もするぞ」

　ということで、僕とジンさんで人だかりの原因を確認する事に。

　どうやら、食堂の一角で何かが起きているみたいです。

　ジンさんが、顔見知りの冒険者に声をかけました。

「この人だかりは何だ？　何かトラブルか？」

「おお、ジンにアレクか。そういや、ちびっこが冒険者登録をすると言っていたな」

「ちびっこと同じ田舎から来たルーキーがいるんだけど、二つのグループがぶつかっているんだよ。どっちが成果をあげられるかってな」

　確かに人だかりの中を覗くと、男性四人と女性四人のグループのリーダーと思わしき人が顔を突き合わせて険悪な雰囲気になっていました。

　それを、周りの三人が必死になって止めているって

　確かに危険な感じというよりかは、意地の張り合いって感じです。

　成果を争うのは、新人冒険者あるあるですね。

「おお、何だ何だ？」

　ここで、僕たちの後ろから少し困惑した男性の声が聞こえてきました。

　みんなが振り返ると、そこにいたのはギルドマスターでした。

　集まっている冒険者が、ギルドマスターに色々と理由を話しています。

「えっ、ギルドマスター？」

「や、ヤバいかも……」

　そして睨み合っていた新人冒険者も、流石にギルドマスターという声を聞いて周りの状況を理解したみたいです。

　周りが見えなくなるほど、お互いに睨み合っていたもんなあ。

　でも、周りを他の冒険者に囲まれて、逃げることもできません。

「おい。そこの二組の四人組、こっちにこい！」

「「「「はい……」」」」

「「「「すみません……」」」」

　流石にギルドマスターに一喝されて、二組の冒険者達は素直にこちらにやってきました。

　今更ながら、後悔の表情が見て取れます。

「お前ら、冒険者登録をした時に周りに迷惑をかけるなと言われただろうが。それなのに、ギルド内でお互いいがみ合うとはどういう事だ！」

「「「「すみません、ごめんなさい」」」」

「「「「申し訳ありません……」」」」

　冒険者登録をしていきなりトラブルを起こせば、そりゃギルドマスターも凄く怒ります。

　流石に反省をしたのか、二組の冒険者達はしゅんとしちゃいました。

　そこで、ギルドマスターがとある事を決定しました。

「はあ、仕方ねえ。今日はちびっこ達以外にもルーキーがいる。ジン、アレク、手短でいいから新人冒険者向けの講習をしてやれ」

「こればっかりはしょうがないな。やるしかないだろう」

　ということで、急遽新人冒険者向けの講習をする事になりました。

　でも大事な事を話すので、ちびっこ達にとっても良い機会なのかもしれません。