七百五十一話 体験入園の打ち合わせ
学園で行われる体験入園での対策をするために、僕とローリーさんとジェリルさんに加えて、当事者であるルーシーお姉様も先生との話し合いに参加する事に。
ルーシーお姉様自体は卒園式とかで学園の先生と打ち合わせをしていたけど、今回は自分が当事者になったので思いっきりどんよりとしていました。
「はあ、何で体験入園でこんな事になるのかしら……」
「ピィ……」
学園の応接室で、ルーシーお姉様は従魔のサンダーホークのぴぃちゃんと共にがくりと項垂れていました。
今までルーシーお姉様が面倒くさい事に巻き込まれるって、あまりなかったもんね。
「では、警備はルーカスお兄様が体験入園した時を基準にして、ルーシーお姉様には個別に従魔による護衛をつけます」
「それが宜しいかと。我々としても、他の体験入園をする人々が被害を受けない為に、当日は職員を増員します」
先日のぼせ上がった貴族の子弟によるベッツさんへの暴行事件を受けて、学園側でも対策を強化しているそうです。
なんといっても、その暴行事件事件を含めて王城に抗議を出す様な貴族の子弟が体験入園に来るのです。
ブランデー子爵側に変なことをさせない為にも、ここはみんなで一致団結しないと。
「アテンド役としてルーカスお兄様とアイビー様も加わるそうですし、万が一の時には対応できるかと。もちろん、僕とプリンも参加しますので」
「まあ、お母様がついてきてくれるのが一番の戦力になりそうだわ。お母様、ここ最近の馬鹿な貴族のせいでピリピリしているから、ブランデー子爵家が何かしたら爆発しそうで怖いわ……」
王妃様はブランデー子爵家で揉め事になったら自ら乗り込むって言っているし、ルーシーお姉様が王妃様の怒りが爆発しないかという懸念はよく分かります。
かくいう僕も当日のアテンド役のルーカスお兄様とアイビー様も、きっとルーシーお姉様と同じ気持ちだろうね。
「やる事は特に変わらないですし、学園長も挨拶をするそうです」
「あっ、あの長い挨拶をするのですか?」
「夏場ですので、あまり長い挨拶はしないかと。昨年はそこまで長くなかったので」
毎回恒例の、学園長による長時間の挨拶があるのか。
体験入園なのに、学園長の挨拶という洗礼を浴びるのは大変だぞ。
「当日は、クロスロード副宰相も警備要員として参加するそうです。他の方は、調査で不参加となります」
「救国の英雄と名高いクロスロード副宰相が参加されるのなら、我々にとっても心強いです。既にルーカス殿下の入園式の際に、かなりのご活躍をされていましたから」
スラちゃんとレイナさん達は、体験入園の当日もブランデー子爵領の調査を行います。
戦力が分散されるけど、ジンさんがいるだけでもとてもありがたいです。
話し合いはこのくらいで終わりにして、僕たちは学園から王城に戻ります。
「「ただいま戻りました」」
「おっ、帰ったな。ちょうど良いタイミングだ」
宰相の執務室に戻ると、ブランデー子爵領に調査に行っていたジンさん達が戻っていた。
同行していた調査官も戻っているということは、きっと何かあったんだ。
「アレク、昼食を食べた後に、ブランデー子爵領の調査結果を報告する事になった。中々面白い事が分かったぞ」
ジンさんが含み笑いをしているということは、きっとブランデー子爵領で重大な事が分かったんだろう。
レイナさん達は、はあって溜息をついているね。
「あっ、ジンさん、ルーシーお姉様の体験入園の際の護衛は大丈夫ですか?」
「問題ないぞ。というか、絶対に俺がついた方が良いだろう。その辺も含めて、会議で話をするか」
ジンさんは、任せろって胸を叩いてアピールしています。
いずれにせよ、まずは昼食を食べて元気をつけないとね。
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