六百八十七話 今日はゆっくりと休みます
暫くすると、怪我した人の治療を終えたリズ達が戻ってきました。
「あれ? リズ、かなり早くない?」
「軽傷者は、ジンさんが聖剣でぱぱっと治しちゃったんだ。だから、リズ達でその他の人を治療したんだよ」
「まあ、大した出力もしていないがな」
いやいや、大した出力もしないで軽傷者を治せるジンさんの聖剣は凄いですよ。
ともあれ、これで一息ついた事になりますね。
僕とルーカスお兄様、それに内務卿とティナおばあさまとジンさんは、一旦王城に報告しに行く事になりました。
勿論、マテオ君も一緒です。
「闇組織の言葉に乗ってしまい、兄は愚かな事をした。マテオは、民の為の統治を心がける事だ」
「はい」
会議が始まって直ぐに、陛下がマテオ君に語りかけました。
マテオ君も、真剣な表情で陛下の話を聞いていました。
「しかし、流石のジンといえども今回は危なかったか」
「まあ、弱い敵が多かったので死ぬ事はないかと思いますが、どちらかというと疲れの方がありました」
「大規模魔法を使う手もあったが、今後の事を考えて使わなかったか。冒険者出身のジンらしいな」
そっか、ジンさん達なら森ごと動物や魔物を吹き飛ばす事も可能だったけど、今後の為に大規模魔法を使わなかったんだ。
そんなジンさんの事を、マテオ君は尊敬の表情で見ていました。
「そういえば、あの執事は何か喋りましたか?」
「いや、大した事は話をしていない。どうも第三者を通じてやり取りをしていたらしく、ピエロやドクターとは一回しか会っていない。しかも、二人と会ったのは教皇国の砦だったそうだ」
「うーん、それだとピエロとドクターまで探すのは難しそうですね」
「こればかりはな。聴取と捜査を継続する事しかない」
うーん、今は何も手掛かりがないのか。
こればっかりはどうしようもないなあ。
「クエスト男爵領は、当面は王城と辺境伯領から役人を派遣する。兵も軍と辺境伯の兵を当分配置する。同時に、マテオの教育も行わないとならない。家庭教師の人選は辺境伯に任せよう」
「畏まりました」
陛下の指示を受けて、辺境伯様が色々と動く事になりました。
辺境伯様はバイザー子爵領と併せてクエスト男爵領の事もみないといけないけど、辺境伯様もジェイド様もいるからきっと大丈夫だね。
「ルーカスもアレクも、今回の件は勉強になっただろう。貴族の跡目争いは、本人達が思っている以上に周りの人を巻き込む。更に、今回は跡目争いの裏で闇組織が暗躍していた。今後も、同様の事があると思った方が良い」
「「はい!」」
陛下が僕とルーカスお兄様に注意したけど、今後も闇組織が暗躍する可能性があるかもしれない。
「今日は疲れているだろうから、守備を固めてゆっくりと休む事にしよう。クエスト男爵就任の手続きは進めて、明日叙爵としよう」
明日色々と動く事になったので、僕達はクエスト男爵領に戻ります。
はあ、戦闘もあったから、今日はとっても疲れました。
「私とアイビーにエレノアは、王城に戻る。また明日朝迎えに来てくれ」
「私も一旦戻るわ。また明日ね」
「はあ、流石に疲れたよ。今日は、ゆっくりと休むか」
「「「ばいばーい」」」
ルーカスお兄様、アイビー様、エレノア、ティナおばあさま、内務卿は、身支度を整えて王城に戻りました。
「私も帰るとするよ。私の事も明日迎えに来てくれ」
「じゃーね」
「何かあったら、直ぐに読んでね」
「ポッキー、皆の事を宜しくね」
「キュー」
辺境伯様達も、ポッキーを除いて屋敷に戻りました。
因みに、僕達とジンさん達は念の為に屋敷に泊まります。
夜中も、スラちゃんとプリンとポッキーに加えて、ミカエルのマジカルラットが屋敷の中を警戒するそうです。
「ようやく着替えられるわ」
「そうね。流石にちょっと疲れたよ」
ジンさん達は、女性陣を中心にして客室に入って行きました。
ジンさん一家と、ルリアンさんナンシーさんの組み合わせです。
「僕達も、お風呂に入ってゆっくりとしようか」
「「「さんせー!」」」
そして、僕達も客室に入って部屋に付いているお風呂に入ります。
本当に今日は皆頑張ったので、夕食を食べたら直ぐに寝ちゃいました。
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