六百八十五話 手分けして作業します

 そして、直ぐに手分けして動く事になりました。


「さあ、ここからは急がないとね。怪我人が多く出ているから、治療をしないと。ルーカスとアレク君は、新しいクエスト男爵と共に内政を固めないとね」

「「「はい!」」」


 ティナおばあさまの指示で、早速皆が動き始めました。

 治療班にはリズもエレノアもスラちゃんもいるし、どんな怪我や病気にも対応できるね。


「ティナ様、俺達はどうしますか?」

「そうね、休憩の意味も含めてリズちゃん達の護衛をしてくれるかしら?」

「それはありがたい。正直、クタクタですよ」


 ジンさん達は沢山の動物や魔物と戦っていたから、かなり疲れちゃっているんだよね。

 長男次男を成敗してストレスは発散できたはずだし、少しゆっくりとしてほしいです。

 その代わり、屋敷内の捜索はプリンとアマリリスとルーカスお兄様のマジカルラットの従魔部隊で行います。


「では、我々も教会に向かい状況を把握してまいります」

「ええ、お願いね」


 教会の聖騎士団も、司祭が亡くなった後の状況確認をするそうです。

 因みに、リズ達の治療も教会前で行うそうです。

 屋敷と教会は目と鼻の先なので、何かあっても直ぐに対応できます。

 そして、ご近所さんという事でこの人にも来て貰いました。


「クエスト男爵領は、我が辺境伯領からも数時間で着く。何かあった際は、遠慮なく頼って欲しい。早速、数人の文官を派遣しよう」

「はい、本当にありがとうございます。助かります」

「いやいや、ありがたい事に仕官希望者が多いのでな。我々にとっても渡りに船だ」


 辺境伯様に来てもらい、事務的なお手伝いをしてもらえる事になりました。

 新しいクエスト男爵領の当主のマテオ君は、僕より一つ年下なのでまだ領内を治めるには不安があります。

 でも、辺境伯領から来る予定の文官は優秀だし、今後の統治にも良い影響を与えそうです。

 因みに闇組織が執事として入り込んでいたとはいえ、まだ本格的に介入した訳じゃないので財政的には何も問題ないそうです。


「冒険者に依頼して、森に残っている動物や魔物を駆逐して流通に回して貰いましょう。薬草なども沢山ありましたし、冒険者にとってはとても過ごしやすい領地ですわね」

「あっ、はい。昔から辺境伯領で修行を積んだ冒険者の、次の目的地となっています。農地もありますし、小規模ですが鉱山もあります」

「マテオは、領内の事を正しく把握しているわね。これからも領内の発展の為に頑張るのよ」


 マテオ君は、ティナおばあさまに一生懸命にクエスト男爵領について説明していた。

 説明していたという事は、それだけ領内の事を把握している証拠だもんね。

 暫くはクエスト男爵領内は混乱するかもしれないけど、マテオ君なら何も問題ないかなと思っちゃったよ。


「とっても可愛いわね。まるで女の子みたいだよ」

「本当だわね、小さい頃のアレク君みたいだわ」

「頑張って説明している所が、とっても可愛いわね」

「キュー」

「あの、その、えっと……」


 そして、何故か辺境伯様と一緒に付いてきたエマさんとオリビアさんとルシアさんが、ポッキーも参加してマテオ君の事を愛でていました。

 マテオ君は大人の女性に囲まれて、顔を赤くしながら思いっきりあたふたしています。

 これから社交界に出ればもっと大人の女性に囲まれるし、今の内に慣れておいた方が良いですね。

 因みにポッキーは、一通りマテオ君と触れ合った後にプリン達屋敷の捜索班と合流していました。

 特に、あの執事の部屋を徹底的に調べるそうです。


「もしかしたら、執事は誰から指示を受けていたとかが分かるかも知れませんね」

「供述とかからも何かしら得られるかもしれないけど、物的証拠を押える事も大切だ」


 僕はルーカスお兄様と話をしていると、マテオ君が不思議そうな顔で僕の事を見ていた。

 何か変な事をしちゃったかな?


「あの、アレクサンダー殿下は僕と殆ど変わらないのに、何でそんな専門的な事まで分かるんですか?」

「マテオ、アレクは特殊な例だ。こんな事を話す子どもなんて普通はいない。気にしなくて良いぞ」

「は、はあ……」


 あの、ルーカスお兄様、流石にその説明は酷いと思いますけど……

 他の人も、ウンウンと頷かないで下さい。

 いくら僕でも、ちょっと傷つきますよ。

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