六百六十九話 主犯はあっさりと捕まります
だっ、だっ、だっ。
兵を先頭に、僕達は一気に屋敷に向けて走り出しました。
そして、屋敷の中に一気に入り込みました。
「な、何だ貴様らは!」
「ここを誰の屋敷だと思っているのか!」
タイミングよく、玄関ホールに全くそっくりな顔の二人の太った男性がいました。
見た目は一緒だけど、青髪が右に分けてあるか左に分けてあるかの違いですね。
「二人とも、内務卿たる私の顔を忘れた様だな。複数の罪状で強制捜査に入る」
「申請書が蹴られているのに、既に開発を始めているそうだな。闇組織の拠点のな」
「「はっ、えっ?!」」
おお、怒り爆発モードの内務卿と農務卿の話を聞いて、目の前の二人は何で知っているのってビックリした表情をしています。
森の中に怪しい建物があるのは、既にジンさん達の偵察で判明しています。
ではでは、ティナおばあさまの許可も貰っているので、早速二人を鑑定っと。
「ティナおばあさま、二人はカスバク子爵と男爵で間違いありません。ステータスに、横領と脱税って出ています」
「ありがとうね。早速捕縛する罪が見つかったわね」
「「げーーー!」」
あの、目の前の二人がとっても良いビックリしたリアクションをしたので、僕の言った罪状が一発でバレたのは当然ですね。
「くそ、このままでは済まさんぞ!」
「野郎ども、出てこい!」
「「「うおー!」」」
おっと、応接室や他の部屋からも人が沢山出てきたよ。
どう見てもならず者の集まりだけど、念の為に鑑定っと。
「全員闇組織の構成員です!」
「この時点で、闇組織との繋がりが確定したわね。もう罪としては、余り余ってお釣りが出てくるレベルね」
ティナおばあさまも、もう十分って事でレイピアを用意しました。
シュッ。
「あっ、スラちゃんが帰ってきたよ。森の中に沢山の兵隊さんを運んで、近衛部隊と共に制圧しているって」
「ふふ、スラちゃんご苦労さまね」
「「な、何だと!」」
実は僕達が屋敷に入るタイミングで、スラちゃんが森の中に沢山の兵とジェリルさんとランカーさん達近衛部隊を運んでいたのです。
ナンバーズレベルの闇組織の人間じゃ無い限り、ジェリルさんとランカーさん達がいれば余裕で制圧出来ます。
因みに、こちらはケーヒル伯爵様が部隊の指示を取っています。
「じゃあ、こちらも始めましょう。スラちゃん、このお馬鹿さん二人を王城に運んで頂戴」
シュッ。
スラちゃんはティナおばあさまに敬礼のポーズをすると、一気にカスバク子爵と男爵に近づきました。
「な、なんだこのス……」
「何でスライ……」
シュッ。
カスバク子爵と男爵が何かを喋ろうとしたけど、スラちゃんの長距離転移で王城に連れて行かれちゃいました。
「さて、後はお前らだけだな」
「なに、お喋りして貰わないといけないのでな。五体満足ではないが、生かしておかないと」
ガンガン!
そして、内務卿と農務卿は立派な剣を腰に下げているのに、何故かゴツいガントレットと脚あてを装備していました。
も、もしかして、肉体言語でお話するつもりなのかな……
「くそ、やっちまえ!」
「「「おお!」」」
「では、こちらも行きますわよ!」
「「「おー!」」」
バキッ、ドカ!
ベキ、ボキ!
そして、闇組織との肉体言語でのお喋りが始まりました。
兵に混じって、内務卿と農務卿が生き生きしながら拳を振るっていました。
「せい、やあ!」
「とー!」
そして、ティナおばあさまとリズも乱戦に参加していて、気の所為かティナおばあさまもレイピアより蹴りの方が多いと感じました。
「てい、やあ!」
バリバリ。
「ぎゃあああ!」
僕はというと、乱戦を避けてこっちに突っ込んできたならず者を、電撃で仕留めます。
でも、殆どが面倒くさい仕事に巻き込まれて怒れる人によって倒されていきました。
「ふん、手応えのない奴らだのう」
「そうですな。大口叩いていた割には弱すぎるな」
こうして、僅か数分程で玄関ホールに集まった五十人以上のならず者は全て倒されました。
うん、僕から見てもとっても弱かったし、戦闘訓練受けていないただのチンピラにしか感じなかったよ。
シュッ。
「あっ、スラちゃんが戻ってきたよ」
そしてあっという間に僕達と闇組織の構成員との勝負がついたので、カスバク子爵と男爵を王城に運んで戻ってきたスラちゃんがもう終わったのかとガックリしていました。
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