六百二十三話 既に号泣モードのククリさん

 結婚式の参列者が全員教会に移動し、教会のルシアさんの控室には同級生を始めとする多くの人が集まっていました。

 ジェイド様の所には、チャールズさんを始めとするゾーテック男爵家の人達が集まっているそうです。

 ゾーテック男爵家は男性が多いから、女性が多いこの控室には入りにくいのかもしれないね。

 ゾーテック男爵夫人は、娘の晴れ姿を見ながらイザベラ様と楽しそうに談笑していました。


「ルシちゃん、ぐす、とっても、うぅ、綺麗だよ」

「もう、ククリは泣き虫だなあ。でも、ありがとうね、とっても嬉しいよ」


 ルシアさんの大親友のククリさんは、マーメイドウェディングドレスを身に着けたルシアさんの姿を見て号泣が止まりません。

 逆に、号泣しているククリさんを見てルシアさんの方が落ち着いていました。


「しかし、悔しいくらいドレスが似合っているわね」

「スタイルの良さは、学年一だけの事はあるわ」


 ルシアさんとククリさんの同級生は、ルシアさんのスタイルの良さを褒めていました。

 ルシアさんは良く動くから、無駄な脂肪が付いていないんだよね。

 それでいてスタイル抜群だから、女性も思わず嫉妬するレベルです。

 そんなルシアさんの手には、昨日リズ達が一生懸命作ったブーケが握られていました。

 ルルーさんとクラヴィーアさんの結婚式でもリズ達はブーケを作っていたので、ここにいるルシアさんの同級生もブーケをリズ達が作ったのを理解しています。


「壮絶なブーケトスが無くて良かったな」

「俺この前親戚の結婚式に出たが、あれは外から見ているとかなり醜いものだぞ」


 女性の醜態をさらす形になるので、男性陣もブーケトスはどうかなと思っていた。


「ふふふ、大丈夫よ。今回は、男性も女性も楽しめるブーケトスのイベントを計画しているわ」

「うー」


 シェファードちゃんの乗ったベビーカーを少し揺らしながら、ソフィアさんがちょっといたずらっぽくニコリとした。

 これは、きっと何かを企んでいるのでしょうね。


 こんこん。


「そろそろお時間となりますので、皆様移動をお願いします」


 ここで、係の人が僕達の事を呼びに来ました。

 いよいよ結婚式が始まりますね。


「リズ、ミカエル、皆も頑張ってね」

「「「頑張る!」」」


 リズ達も、フラワーボーイとフラワーガールをやる為に元気よく手を上げていました。

 因みに、リングボーイをルシアさんの一番下の弟がやるそうです。

 当初は別の人だったけど、せっかく来たのだからとリズ達が誘ってくれました。

 僕も、教会の中に移動しよう。

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