六百二話 魔獣化したゴブリンキングを撃破

「よし、ゴブリンはだいたい駆逐できたな。アレク、エレノア、プリン。魔力を溜めていろ」

「「はい!」」


 ゴブリンの駆逐もほぼ終わったので、魔獣化したゴブリンキングを倒しに行きます。

 僕とエレノアとプリンはジンさんの指示で魔力を溜めて、他の人がゴブリンキングを目掛けて一斉掃射を始めました。


 ズドドドーン、ズドドドーン!


「グオオオ!」

「遠慮しないで、どんどん魔法を放っていきましょうね」

「「「はーい」」」


 ゴブリンキングは腕をクロスして魔法を防ぐけど、いくら魔法耐性が高いとはいえダメージを受け始めています。

 カミラさんの指示でミカエル達は元気よく魔法を放つけど、これは一種のカモフラージュです。


「よし、レイナ、リズ、イヨ、ゴブリンキングの背後に回り込むぞ」


 ゴブリンキングの意識を前方に向ける事で、背後がガラ空きになりました。

 ジンさん達はすかさずゴブリンキングの背後に回り込みます。


「せい!」

「やー!」

「えーい!」


 ざしゅ、ざしゅ、ざしゅ。


「ギガアアアーーー!」


 ゴブリンキングは突然の背後からの三連撃に、大ダメージを受けます。

 更に魔法を防いでいた腕を離してしまったので、正面からも魔法攻撃をモロに受けていました。


「とー」


 シュイーン、ドーン!


「グキャァァァ!」


 更にイヨが、気の抜けた掛け声とは裏腹の強魔力を込めた烈なパンチをゴブリンキングの背中に突き刺します。

 ミシミシと嫌な音がして、ゴブリンキングは思わず膝をつきました。

 そして、ジンさん達は素早くゴブリンキングから離れます。


「アレク、プリン、やっちまえ!」

「はい、いきまーす!」


 ジンさんの掛け声を合図にして、僕とプリンは合体魔法を放ちます。


 ズドーーーン!


「ギャァァァーーー!」


 強力な雷魔法がゴブリンキングを直撃して、森の辺り一面にゴブリンキングの叫び声が響き渡ります。

 いくら魔法耐性が上がったとしても、強力な魔法は防げないみたいですね。


 プスプス……


「グッ、グガア……」


 流石の魔獣化したゴブリンキングだとはいえ、合体魔法を受けて虫の息です。

 そしてトドメは、エレノアの魔法です。


「よし、エレノア、トドメだ!」

「えーい、凍っちゃえ!」


 ヒューン、パキーン!


「おー、エレノアすごーい!」

「「「「おっきな氷だ!」」」」

「うんうん、エレノア様も順調に成長しているわね」


 エレノアは誕生日パーティーで僕とリズがあげた魔法の杖をかざして、ゴブリンキングを氷漬けにしました。

 巨大な氷の出現にリズは驚きミカエル達は興奮していて、カミラさんもエレノアの成長に満足していました。

 この一撃に流石のゴブリンキングも耐えられないみたいで、探索魔法を使っても反応がなくなりました。


 パチパチパチ。


「いやあ、素晴らしいですね。良いサンプルも取れた上に、エレノア王女殿下の成長も拝見できました。とても有意義な時間でしたよ。では、また会える日を楽しみにしております」


 ブオン。


 ドクターは、言うだけ言ってさっさと姿を消してしまいました。

 早速プリンが氷漬けになったゴブリンキングをアイテムボックスにしまいました。


「丁度いいタイミングだから、教えてあげるね。ゴブリンは耳が討伐証だから、切り落としたら燃やすか埋めちゃいます」

「今日はプリンがいるから、ゴブリンの不要な所は全部吸収してくれるわ。さあ、やりましょう」

「「はい」」


 新人冒険者のお姉さん達は、レイナさんとカミラさんにルリアンさんとナンシーさんと共に、ゴブリンの耳を切り落としています。

 切り落とした耳は再びプリンがアイテムボックスにしまって、不要な所もプリンが吸収し始めました。

 新人冒険者の成長達もいきなりの大戦闘だったけど、魔法を使ってゴブリンを倒したし良い経験になったね。

 リズ達は皆で頑張ったねと、草をもぐもぐしているポニさん達とマジカルラットを撫でていました。

 あっ、ジンさんにちょっと聞きたいことがあるんだ。


「ジンさん、今回何でゴブリンキングに状態異常回復を使わなかったんですか?」

「この前ティナ様と軍務卿から、研究にまわしたいから魔獣化した状態で捕獲できたらやってくれと言われたんだよ。流石に人間を氷漬けにするのは気が引けるけど、ゴブリンキングなら問題ないだろう」


 そっか、魔獣化した状態なら更に魔獣への対策も建てられるって訳だね。

 なら、あの氷漬けにしたゴブリンキングは、王城行きだね。

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