六百一話 ゴブリンキングとドクター
ガサガサ、ガサガサ。
「何かの反応が大量にあります。一つはとても強い反応です!」
「直ぐに街道まで引き返すぞ。陣形を作るぞ」
僕の探索魔法には、百を超える何かの反応がありました。
直ぐに街道に引き返して、ミカエル達と新人冒険者を囲む様に陣形を取ります。
ガサガサ、ガサガサ。
「「「キシャー!」」」
「ゴブリンか、しかもゴブリンキングまでいるぞ。しかし、魔物溢れの兆候はなかったぞ?」
森から姿を現したのは、多くのゴブリンと異様な形をしたゴブリンキングでした。
でもジンさんの言う通り、何でゴブリンが現れたのだろう?
その答えは、全く予想しなかった人物から聞くことができました。
ブオン。
「おやおや、せっかくだから冒険者がいるところで実験をしようかと思いましたら、まさかの天使様に勇者様の一行でしたか。これはとても嬉しい誤算ですね」
「「「ドクター!」」」
宙に浮く映像として現れた白衣を着た人物は、何と闇ギルド幹部のドクターでした。
僕達はまさかの登場人物に、かなりびっくりしてしまいました。
直ぐにジンさんが聖剣を抜いて、ドクター目掛けて剣撃を飛ばします。
「ふっ!」
すか。
「やはり映像か。この前は音声のみだったし」
「我々も何かと忙しいものなのですよ。何れ相まみえる時が来ますので、少々お待ちを」
カミラさんに対して恭しく礼をするドクターだけど、闇ギルドは一体何を考えているのだろうか。
「今日は単純ですよ。群れを統率するものに薬を投薬すると、群れ全体が強くなるかの実験です。ああ、ゴブリンは魔導具を使って呼び寄せたので、魔物溢れの心配は無用です」
「そして、俺達にゴブリンを倒させて、データを得るという訳か」
「左様でございます。何せ魔導具を使った者がゴブリンに襲われてしまったので、もう引き返せなくなりましたので」
ペラペラとドクターが喋っているけど、取り敢えず僕達がゴブリンの群れを倒せば済む事だね。
「取り敢えずやっちまうか」
ぴかー!
「グルルル!」
「ちっ、ゴブリンキングの魔法耐性が上がってやがる」
ジンさんが聖剣を使っての状態異常回復をゴブリンキング目掛けて放ったけど、ゴブリンキングには全く効いていない。
これは意外と厄介だぞ。
「ちびどもとポニー、後はマジカルラットもだな。ゴブリンを目掛けて魔法を撃ちまくれ! 俺らは撃ち漏らしを撃退するぞ」
「「「「やるよー!」」」」
「「わ、私達も魔法を使います」」
とはいえドクターに付き合う必要はないので、ここは数による飽和攻撃を仕掛けます。
新人冒険者のお姉さん達も、ゴブリンを目掛けて魔法を放ちます。
「グシャー!」
ブオン、バキン!
「大丈夫です、守りますのでどんどんと魔法を撃って下さい」
「私達もやるよ!」
「どんどんいきます!」
ゴブリンキングが木などを僕達目掛けて投げ込んでくるけど、サンディが全て魔法で防いでくれます。
ルシアさんとククリさんもどんどんと魔法を放ち、ゴブリンはどんどん駆逐されていきます。
「ふむふむ、ゴブリンキングを強化しても配下のゴブリンは対して強くならないと。これは興味深い結果ですね」
戦いの中でも、ドクターは冷静にレポートを書いていました。
やはりドクターは、普通の人と比べて何かおかしいです。
研究体質なのか、こんな戦いでも結果を集めています。
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