六百三話 報告とまさかの式典参加

 倒したゴブリンの後片付けも終わったし、先ずは冒険者ギルドに戻ります。

 森であった事を、ギルドマスターに説明しないとね。


「中々面白い事になっていたな。とはいえ、暫く警戒はするが魔導具で呼び出したのなら特に問題はないな」

「それにしても、アレク君達は相変わらず強いね。エレノア殿下も、立派になられました」


 事が事だけに、守備隊長にも同席してもらって森であったゴブリン騒ぎを説明しました。

 実際に森の中から闇ギルドの下っ端の死体と壊れた魔導具が出てきたので、ドクターが言っていた事は間違いないみたいです。

 念の為に、守備隊が森の中の街道の巡回を増やすそうです。


「あと、ゴブリン撃破は通常通りに支払うが、氷漬けのゴブリンキングはジンの言う通り王城で引き取って貰え。魔獣化していて、怖くて使い道がないぞ」


 そして、やはりというかゴブリンキングは王城で引き取って貰うことになりました。

 引取所でプリンが氷漬けのゴブリンキングを出すと、様子を見に来たギルドマスターが頭を抱えていたっけ。


「とはいえ、この前もそうだが闇ギルドが森の中でこそこそと実験していたのは気に食わねえな」

「しかも、わざわざ転移の魔導具を使っていたらしいし、実験ついでに辺境伯領の街を潰そうとしていたのかもしれないな」

「この辺境伯領には重要人物も沢山いるし、闇ギルドにとっては恨みしかないだろう。とはいっても、辺境伯領兵もそう簡単にやられるつもりはないがな」


 辺境伯領兵もとても強いし、ゴブリンキング一体だったらやられないね。

 というか冒険者も強いし、僕達がいなくても辺境伯領の人々はそう簡単にやられない気がするよ。

 話はこれくらいにして、僕とプリンとジンさんとエレノアは、王城に報告しに行きました。


「ドクターも絡んでの魔獣化の実験か。タイミングが良かったとはいえ、危ない所だったな」

「魔獣化したゴブリンキングがどれだけの時間動けるかは分かりませんが、もし長い時間動けたら街はヤバかったです」


 五歳の祝いの式典対応で王城に来ていた軍務卿にジンさんが辺境伯領での事を報告しているけど、個人的にはゴブリンキングはあまり長時間動けなくて街に着くまでには弱っていた可能性の方が高い気がします。


「とはいえ、エレノア殿下が魔獣化したゴブリンキングを氷漬けにしてくれて助かった。今まで魔獣化した状態での魔物の調査は、殆ど出来ていないからな」

「ジンさんも、ティナおばあさまと軍務卿に言われていたと言っていました。普段と戦闘の指示が違ったから、何かあったのかなって思っちゃいました」

「アレク君に伝えておいても良かったのだが、丁度ジンと会うタイミングがあったので伝えておいたのだよ」


 ジンさんがいる時はジンさんが戦闘の指揮を取ることが殆どだし、最近はジンさん抜きで僕達だけって時は少ないんだよね。

 今後も魔獣化した状態で捕らえるかは、研究次第ですね。


「あら、皆ここにいたのね。エレノアが大活躍したって聞いたわ」

「えへへ」


 と、会議室にティナおばあさまが入ってきました。

 エレノアを褒めつつ、僕とジンさんをジロジロと見ています。

 ……何だか嫌な予感がするよ。


「アレク君とエレノアとジンは、この後用事がなければ五歳の祝いの式典に参加ね」

「「「えっ!」」」


 あの、ティナおばあさま、ニコニコしながら何を言ってるんですか?

 僕もエレノアもジンさんも、あまりの衝撃に思わず固まってしまいました。


「既に辺境伯には、三人が式典に参加すると連絡してあるから大丈夫よ。アレク君はこの間注文した服が出来ているし、ジンの貴族服もさっきスラちゃんが取ってきたわ」

「「手回しが良い……」」


 笑顔で退路を塞いでいると話すティナおばあさまに、僕とジンさんはガクリとなってしまいました。

 因みに最初から式典に参加予定だったルーシーお姉様は、面倒くさい式典への道連れが増えて喜んでいました。

 そして、リズ達はミカエル達とレイナさん達と一緒に辺境伯家で何故かスイーツパーティーをやっていました。

 僕は絶対に、式典よりもスイーツパーティーの方が良かったよ。

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