五百四十一話 思わぬ苦戦の予感
「ぐふぅ……」
「本当に邪魔者が多いわね」
「それだけ、俺達に見られたくないお宝があるんだよ」
レイナさんとジンさんが現れてくる邪魔者をバッタバッタと倒していきます。
勿論手加減しているから全員生きているけど、骨の一本や二本は我慢して欲しいですね。
「スラちゃんがね、ここ先の大きなドアがある部屋に領主と嫡男がいるんだって」
「そうなのね。じゃあ、ここは強行突破させて貰いましょう」
大きなドアは固く閉ざされていたけど、ティナおばあさまがレイピアを一閃します。
しゅん、どーん。
「おばあちゃんすごーい!」
あの、何でティナおばあさまはレイピアでドアを切り裂く事が出来るんですか?
リズとスラちゃんとプリンは物凄く喜んでいるけど、他の人は唖然としていますよ。
「きゃあ!」
「な、なななな……何だお前は!」
「ぶっ飛ばしてやるぞ!」
大きな部屋の中には、小太りの男性一人と小柄なメイド服を着た女性一人がいました。
小太りの男性二人は明らかに挙動がおかしいので、スラちゃんの報告通り魔獣化の薬を飲んでいるのでしょう。
念の為に鑑定をしてみましょう。
「ティナおばあさま、あの二人はナイツ子爵と嫡男で間違いありません。ばっちりと状態異常の表示も出ています」
「そうなのね。じゃあ、早速状態異常解除でもかけましょうね」
「じゃあ、リズとスラちゃんがやるよ!」
ティナおばあさまの提案に、リズとスラちゃんが手を挙げて魔法を溜め始めました。
「いっくよー」
きらーん。
そして、リズとスラちゃんの魔力が溜まって状態異常回復の合体魔法が発動した時、予想外の事が起きた。
「ふん」
「えっ、きゃあ!」
何と大柄な太った嫡男が、側にいた女性を魔法から身を護る為の盾にしたのです。
状態異常回復だから女性に魔法が当たっても何も問題ないのだけど、予想外なのは女性に魔法が当たった瞬間でした。
ばしーん。
「「「えっ!」」」
何と、状態異常回復魔法が女性に当たった瞬間に拡散してしまったのです。
魔法障壁を使ったわけでもないのに、皆も僕も一体何が起きたのかと思いました。
「ふふふ、我らに回復魔法は一切効かぬぞ」
「ははは、この小娘がいる限りな」
「ぐうう」
ナイツ子爵と嫡男が何かを言っているけど、あの女性が二人の側にいる限り何かの原因で回復魔法系が跳ね返されるんだ。
二人は女性をがっしりと掴んで盾にしているし、下手に攻撃が出来ないぞ。
「これは中々難しい戦いになったわね」
「ああ、あの女性を引きはがしてから戦うか、それとも別の方法で状態異常回復をかけるかの二択だな」
レイナさんとジンさんが額に汗をかきながら、戦い方を話していました。
予想以上に難しい戦いになっちゃったぞ。
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