五百四十話 屋敷の中に突入

「じゃあ、スラちゃん行こう」


 僕はスラちゃんを抱いて、スラちゃんによる長距移ワープでナイツ子爵領の子爵邸に向かいました。

 そして、ティナおばあさまやジンさん達にこくりと頷くと、ティナおばあさま達も頷き返してくれました。


 ひゅん。


「くそ、書類が無くなっているぞ」

「こっちは倉庫にあったはずの武器が全くない。一体どうなっているんだ?」

「ここは、玄関ホールだね。何だか屋敷の中がとっても騒がしいけど、この騒ぎに便乗して皆を呼んじゃおう」


 ナイツ子爵邸の中は色々な人がせわしなく動いていて、玄関ホールに現れた僕の事に全く気が付いていません。

 きっと昨晩のスラちゃん達の侵入で、色々な物が回収されたり使えなくなったんだね。

 因みにスラちゃん達が回収した書類とかは既に宰相達に渡っていて、既に分析に回っているそうです。

 そんな事を思いながら、僕は王城にゲートを繋いで皆を呼び寄せました。


「アレク君、ありがとう。さあ、ナイツ子爵邸を制圧しますよ」

「「「はい」」」


 ティナおばあさまやジンさん達も屋敷に現れたので、ここからは一気に動き始めます。

 流石に玄関ホールに複数の人物が現れたので、ナイツ子爵邸で働く人も僕達の存在に気が付いたみたいです。


「ぐっ、どこから現れやがった!」

「王国王族ティナだ。闇ギルドに関わる容疑で、ナイツ子爵邸を強制捜査する」


 執事服風だけどナイフなどを構えたどう見ても闇ギルドの関係者と思わしき複数の人物が、僕達を牽制してきます。

 そんな事はお構いなしに、ティナおばあさまが王家の証と強制捜査令状をドーンと見せつけました。


「うるせえ! やっちまえ!」

「「「おう!」」」


 ひゅーん。


「させません!」


 バリバリバリ。


「「「ぎゃー!」」」


 捜査令状を見せられてもナイフを構えた人物は威勢よく僕達に突っ込んできたけど、僕のプリンの合体魔法のエリアスタンであっという間に無効化されました。

 実はティナおばあさまが口上を言っている間に、僕とプリンはこっそり魔力を溜めていました。

 痺れた者は、直ぐに近衛騎士によって後ろ手に拘束されます。


「ティナ様、こいつらどうしますか?」

「放置で良いでしょう。どうせ、当分は痺れて動けませんし」


 ジンさんがティナおばあさまに確認をしていたけど、僕とプリンの放ったのは死なない程度の強い電撃だったので襲ってきた人々は当分は動けないはずです。


「せい、やあ!」

「とー!」

「「「ぐはあ!」」」


 その間にも現れた襲撃者を、レイナさんとリズとスラちゃんが飛び蹴りで吹き飛ばします。

 まあ、強制捜査令状を持っているとはいえ、ナイツ子爵邸にいる人たちは僕達の方が襲撃者なのかもしれないね。

 でも、ここで僕達が引き下がる訳にも行かないので、襲ってくる人を倒しながらどんどん屋敷の中を進んでいきます。

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