五百三十九話 作戦実行の朝

 そして、いよいよ作戦実行の朝になりました。

 僕達は朝早く起きて、着替えや武器の準備をします。

 今日は冒険服じゃなくて、サンディやイヨに加えてミカエル達も騎士服を着ていきます。

 勿論ジンさん達も騎士服を着ていますが、妊婦さんのアレクサさんはゆったりとしたシスターさんの服です。

 

「じゃあ、僕達は王城に向かいますので、後は宜しくお願いします」

「辺境伯領の事は任せておけ。何かあっても直ぐに対処するぞ」

「こっちは任せてね。アレク君も気を付けてね」


 見送りに来てくれた辺境伯様と辺境伯領に残るカミラさんに挨拶をした後、僕達は王城に向かうメンバーとブッチー達と一緒に王城の軍の詰め所に向かいます。

 軍の詰め所には、ティナおばあさまと王妃様に加えて、ルーカスお兄様とアイビー様と近衛騎士の人が待機していました。

 ジェリルさんとランカーさんは、ルーカスお兄様達の護衛に着くそうです。


「こちらも準備万端だわ。早速ナイツ子爵領に乗り込みましょう」


 ティナおばあさまは、やる気に満ち溢れています。

 もしかしたら、闇ギルド幹部のピエロとドクターに会えるかも知れないね。

 というか、これだけの大事だから間違いなくピエロとドクターが絡んでいるのは間違いないでしょう。


「じゃあ、皆の事を宜しくね」

「「キュキュ」」


 リズ達とミカエルのマジカルラットにも、声をかけていきます。

 ナイツ子爵邸への突入についていく従魔はスラちゃんとプリンだけなので、マジカルラットは全て辺境伯領か王城に残ります。

 アイビー様の従魔であるアマリリスも、王城に残る事になっています。


「アレク君達も気を付けてね」


 王妃様も駆けつけていて、僕達にハグをしてくれました。

 因みに、妊婦であるアリア様は部屋で休んでいます。

 そして王妃様は、ジンさんの事をちらりと見ました。


「ジンにもハグしようかしら?」

「王妃様、ニヤニヤしながら何を言っているのですか……」


 ジンさんは呆れた顔で王妃様の事を見ていました。

 でも、ジンさんが何も言わなかったら、王妃様はジンさんの事をハグしていたでしょうね。


「ルーカスお兄様、アイビー様、後はよろしくお願いします」

「王都の事は任せておけ。アレクも気を付けてな」

「王城は気にしなくて大丈夫ですわ。今日はお父様も駆けつけてくれる事になっておりますの」


 ルーカスお兄様とアイビー様は、何かあった時の対応の為に軍の詰め所で待機しているそうです。

 閣僚も軍の重鎮も昨晩は王城に泊っていて、何時でも動ける様にしているそうです。


「じゃあ、現地に行きましょうか。スラちゃん、お願いね」


 ティナおばあさまの声に、スラちゃんが触手をふりふりしました。

 僕はナイツ子爵邸に入った事がないので、先ず最初にスラちゃんの長距離ワープで現地に行ってから僕が王城の軍の詰め所にゲートを繋いで人を呼び込む事にしています。

 ここからは時間との勝負なので、一気に進めていきます。

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