四百八十三話 皆で仲良く森での活動をします

 ざしゅ、ずばっ。


「「ピィ!」」

「はっはっは、どんどん行くぞ!」

「まだまだこんなもんじゃないぞ」

「か、閣下、お待ち下さい」


 農務卿と外務卿は、森に入って直ぐに出会った鹿に突撃していった。

 昨日と同じく兵が後を追いかけるけど、今日も本当にお疲れ様です。

 まあ、兵が五人も護衛についているし、スラちゃんもジンさんも一緒だから余程の事がない限り大丈夫でしょう。

 僕達は、昨日に引き続き薬草採取を行います。


「改めて思いますけど、ここは色々な薬草がありますね」

「辺境伯領とは気候も違うし、山がちの地形だからね」

「昨日も言ったけど、キノコなども採取しましょうね」

「はい」


 ルリアンさんとナンシーさんに薬草の種類を聞くけど、確かに温暖な辺境伯領と比べても気温は低いし生育する薬草が違うんだね。

 細かい所は分からないけど、とりあえず鑑定を使いながら色々な物を採取しよう。


「こっちにも薬草がありますよ」

「本当に自然豊かですね」


 チセさんとノエルさんはとっても仲良しなので、二人で一緒に薬草採取をしています。

 他の近衛騎士も、監視を交代しながら薬草採取をしています。

 リズは、サンディとイヨと仲良く薬草採取をしていたと思ったら、何やら獲物を見つけた様です。


「ぶひー!」

「おお、大きなイノシシ発見!」

「リズ、気を付けるんだよ」

「はーい」


 昨日今日で一番大きなイノシシを発見したリズは、意気揚々と愛刀のファルシオンを手に持ちながらイノシシに突っ込んでいきました。

 まあ、リズがイノシシに負けるはずがなく、あっという間にイノシシの頭を切り落としました。


「やっとイノシシが倒せたよ」

「リズ様、良かったね」

「ずばっと切った」

「家に帰ったら、お姉さんにお肉を食べさせてあげるんだ」


 リズはご機嫌でサンディとイヨの所に戻ります。

 そっか、リズは妊娠していて一緒にこれなかった侍従のお姉さんの為にイノシシを倒したのか。

 後でリズの事を褒めてあげよう。

 因みに、リズが倒したイノシシはプリンが血抜きを行っています。

 こうして、午前中の森での活動は終了です。


「いやあ、久々に体を動かしましたな」

「全くですな。定期的に体を動かしたいものですな」

「何故この二人は、あんなに走り回ったのに元気なんだよ……」


 農務卿と外務卿は、とっても良い笑顔で成果を語り合っていました。

 鹿を中心に、結構な数を狩った様です。

 一緒についていたジンさんが、農務卿と外務卿の元気さに逆に疲れてしまっていました。

 因みに、狩った害獣はそのままギルドに卸すそうです。


「じゃあ、夕方までに解体しておくぞ」

「お願いしまーす」

「しかし、お世話になっているお姉さんに食べさせたいとか、嬢ちゃんは偉いな」

「えへへ」


 リズは、自分が狩ったイノシシの解体を頼んでいました。

 解体担当のおっちゃんも、リズの話を聞いて褒めていました。


「さて、後は大物を回収するだけだな」

「うーん、二人ともどのくらいのんびりしているかな?」

「二人ともストレスが溜まっていたからなあ」


 後は陛下とティナおばあさまを木こりの宿に迎えにいくんだけど、二人がどんな感じかジンさんと予想していました。

 冒険者ギルドから木こりの宿までは近いので、皆で歩いて行くことにしました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る