四百八十二話 マロード男爵領での害獣駆除二日目

 その日は王妃様やアリア様にルーカスお兄様達は王城に戻り、僕達とティナおばあさまとジンさん達はマロード男爵領の屋敷に泊まりました。

 二日目はメンバーが変わります。

 先ずは、辺境伯家より辺境伯夫妻とエマさんとオリビアさんがやってきます。

 勿論、セシルさんが妊娠した件です。

 そして王城からは、陛下と宰相と商務卿に農務卿と外務卿がやってきました。

 ついでといった感じで、チセさんとノエルさんも一緒にやってきました。


「セシルさん。妊娠おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「マイクお兄ちゃんも遂に父親か」

「何だか不思議な気持ちだよ。兄貴もこんな感じだったのかな」


 エマさんとオリビアさんがマイク様とセシルさんと談笑しているけど、マイク様は、まだ実感が湧いていない様です。

 これからセシルさんのお腹が大きくなったら、父親になった実感が湧くのではないかな。


「ほらほら。ガイルよ、じーじじゃよ」

「じー」

「おお、ガイルは利口じゃのう」

「おじいちゃん、顔がデレデレになっているよ」


 宰相は、ひ孫のガイルちゃんを抱っこして超ご機嫌です。

 カミラさんの指摘も、ガイルちゃんに夢中で全く聞いていません。


「レイカ、ベロベロバー」

「うわーん」

「おお、レイカよどうした?」

「お父様がレイカに顔を近づけすぎたから、びっくりしたんですよ」

「レイカ、すまんすまん」

「うわーん」


 一方の商務卿は、レイカちゃんをあやそうとして大失敗です。

 何とかしようとするけど、これは暫く泣き止まないだろうな。


「陛下は、どうするんですか?」

「儂は温泉にいくぞ。その後は、マッサージにも行くぞ」

「陛下、がっつりコースですね」

「私も今日は温泉にマッサージを受けるわ」

「ティナ様もですか」


 ジンさんは陛下に今後の予定を聞いたけど、がっつりリラックスコースだった。

 ティナおばあさまも一緒に行くそうなので、依頼をこなす人と温泉に行く人に分かれます。

 因みに、宰相と商務卿はカミラさんとレイナさんと一緒に屋敷に残って、農務卿と外務卿が依頼の方に向かいます。

 いつもの木こりの宿に温泉組を送ってから、僕達は冒険者ギルドに向かいます。


「今日も薬草採取と害獣駆除ですか?」

「おお、そうだぞ」

「害獣駆除は程々で大丈夫ですよ。昨日皆さんが沢山狩りましたので」

「ああ、うん。今日はそんなにやらないと思うぞ」


 昨日ジンさんと話をしていたギルドの職員が言っていたけど、昨日はストレス発散という名のデストロイアによって害獣駆除を沢山したもんなあ。

 今日害獣駆除をするのは農務卿と外務卿だし、多分大丈夫でしょう。


「外務卿、凄い剣ですな」

「ははは、外国に行くので護身の為に携帯しております。農務卿も中々の剣をお持ちで」

「私も地方によく行くのでな。同じく護身の為だ」


 うん、農務卿と外務卿が何だか凄い剣を自慢しあっているけど、きっと大丈夫、だと思いたい。


「連れの方が、凄いやる気になっていますね」

「悪い、結構狩る事になるかと」


 ジンさんがギルドの職員に事前に謝っているけど、ここは農務卿と外務卿の自制心に期待するしかないぞ。

 という事で、手続きも終わったので皆で森に移動します。

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