四百五十四話 先輩後輩の間柄
翌朝、僕はティナおばあさまと共に一番でミカエルの様子を見にバイザー子爵領に向かいました。
因みに、リズ達はベッドにもぐっていてまだ夢の中です。
「「にーに、ばーば!」」
「ミカエル、ブリッド、大丈夫だった?」
「「うん!」」
バイザー子爵領の屋敷に向かうと、朝から元気いっぱいのミカエルとブリッドに迎えられました。
ミカエルとブリッドは、ひしっと僕とティナおばあさまに抱きついてきます。
「ミカエルとブリッドは良い子にしていましたよ。ちょっと泣いちゃいましたけどね」
「みか、ないてなーい」
「ぶりもないてなーい」
あらら、一緒に来てくれたアイビー様が、ミカエルとブリッドの秘密をバラしてしまった。
ミカエルとブリッドは首をふりふりしているけど、泣いたのは本当なんだろうな。
まあ、二人が元気なら何よりですな。
「ルーカス、そちらの様子はどう?」
「兵の士気も高く、とても良いです。何かあっても、治療の手が複数あるのも良いですね」
「そう、それは良い事だわ。今日から本格的な討伐が始まるから、逃げ出した動物や魔物がやってくるかも知れないわ。気をつけてね」
「はい、ありがとうございます」
ティナおばあさまとルーカスお兄様が話をするけど、バイザー子爵領の兵の士気が高くて良かった。
時間を取らせてはいけないので、僕達は直ぐに屋敷に戻ります。
「ミカエル、ブリッド、気をつけてね」
「「ばいばーい」」
僕とティナおばあさまは、ミカエルとブリッドに見送られながら屋敷に戻ります。
「お兄ちゃん、何でリズを置いてミカちゃんの所に行ったの!」
「僕がリズを何回も起こしても起きなかったからでしょうが」
屋敷に戻ると、やっと起きたリズがプンプンしながら僕を出迎えました。
僕に文句を言う前に、キチンと起きましょうね。
追加人員と物資の準備が整ったので、ブランターク男爵領に向かいます。
クラヴィーアさんは騎士服だけど、何故かルルーさんはメイド服を着ています。
気にしても仕方ないので、僕はブランターク男爵領の屋敷にゲートを繋ぎます。
「お、少し元気になったかな?」
「く、クラヴィーア先輩! 何でここに?」
ランディ様の部屋に皆で入ると、ランディ様はクラヴィーアさんの姿を見てかなりびっくりしています。
本当に先輩後輩の間柄だったんだ。
「私が最終学年の時に、新入生として学園に入ってきたのがランディね。生徒会で一緒だったのよ」
「そ、その節は大変お世話になりました」
「ランディ、何で言い淀むのよ」
「た、他意はないですよ。他意は」
うん、二人の話を聞いて何となく分かったぞ。
ランディ様はクラヴィーアさんに頭が上がらないんだなあ。
生徒会で何があったかは聞かないでおこう。
「因みに横にいるのが私の義理の妹のルルーよ。メイド服を着ているけど、キチンとした貴族令嬢よ」
「初めましてランディ様、ルルーと申します」
「あれ? クラヴィーア先輩のお姉さんって、レイナ様だった様な気が。って、ルルー様ってまさか?」
「そうよ、ルルーはレイナお姉様の旦那であるジン様の妹よ」
「あの聖剣を所有する、勇者ジン様の妹君ですか! 救国の勇者ジン様は、学園の学生の間ではヒーローです!」
「ゆ、勇者かどうかは知りませんが、確かに私は聖剣を持つジンお兄ちゃんの妹になります」
クラヴィーアさんがランディ様にルルーさんの紹介をしたら、ランディ様がとんでもなく興奮していた。
ジンさん、導くものという二つ名からとうとう救国の勇者にランクアップですか。
流石のルルーさんも、兄の新たな二つ名に困惑しているぞ。
「今日は内政の勉強を兼ねて、私は文官と共に屋敷の中にいるわ。ランディにはルルーがお世話をするらしいから」
「済みません、ルルー様」
「いいえ、私は元々侍従の仕事をしていましたから。あと、私に様付けは不要ですよ」
「分かりました、ルルーさん」
ランディ様はルルーさんがジンさんの妹で気を使っているけど、屋敷の方は大丈夫そうですね。
僕は運んできた荷物をアイテムボックスから出して、沢山の怪我人がいる病院に向かいます。
プリンは、早速兵と共に森に向かいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます