転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

四百五十一話 男爵邸での襲撃事件

　そして、辺境伯領を出発してから三時間ちょっとで、無事にブランターク男爵領に到着しました。

「ティナ様、アレク様、お待ちしておりました」

　防壁の門の前で、辺境伯領から先に出ていた部隊の兵が僕達を待ってくれていました。

「他の兵はどうしましたか？」

「既にブランターク男爵様の許可を得て、森に入り魔物の討伐を始めております」

「では、僕も冒険者と軍を呼びますね」

「お願い致します」

　まだ街に入っていないけど、僕は早速辺境伯領から応援部隊を呼び寄せました。

「よっしゃ。まだ日が暮れるまで二時間はある、やるだけやるぞ！」

「「「おー！」」」

　早速軍と分担を決めた冒険者は、森の中に入っていきます。

　今日は二時間かけて、できるだけ動物や魔物を狩る様です。

　僕達は街の中に入ります。

「教会に怪我人が集められている様です。治療を行って欲しいそうです」

「お兄ちゃん、ここはリズにお任せだよ！」

「分かった。お願いね」

　リズとサンディとイヨは、近衛騎士と共に教会に向かいます。

　回復魔法が使えないサンディとイヨには沢山のポーションを持たせているので、きっと大丈夫でしょう。

　僕とティナおばあさまと兵と軍の指揮官は、急いで屋敷に向かいます。

「あ、新たな援軍が来たわ」

「おお、神に感謝致します」

　屋敷の前では炊き出しが行われていて、炊き出しを食べていた。

　僕達を見た街の人は、助かったと涙している人もいます。

「炊き出し中済みません、王国王族のアレクです。ブランターク男爵様にお取り次ぎ下さい」

「はっ、はい。直ぐに取り次ぎます」

　僕が王族の証である短剣を侍従に見せると、侍従はびっくりした表情で屋敷の中に入っていった。

　小さいとはいえ王族がいきなり屋敷に来たのだから、そりゃ驚くよね。

「キャー！」

　まだかなあと思っていたら、突然屋敷の中から女性の悲鳴が聞こえてきた。

　僕とティナおばあさまは無言で顔を合わせると、屋敷の中に入っていった。

　辺境伯領兵と軍の指揮官も、僕達の後に続きます。

「大丈夫ですか？」

「し、執務室の方から悲鳴が聞こえてきました。案内します」

　屋敷の中にいた侍従に声をかけると、どうも執務室から悲鳴が聞こえてきたという。

　僕達は侍従の先導で、執務室に向かいます。

　うーん、屋敷の中の調度品が殆どなくて殺風景だなぁ。

　そんな事を思いながら、僕達は執務室の前に到着しました。

「ティナおばあさま、皆さん、悪意のある反応があります」

「任せて下さい。我々が先に突入します」

　僕が探索をした結果を、小声で他の人に伝えます。

　辺境伯領兵と軍の指揮官が、先に部屋に突入する事になりました。

　ハンドサインでカウントダウンをし、いざ突入です。

　バタン！

「うわ、なんだ！」

「武器を捨てろ！」

「降伏するのだ！」

　バキン、バキン！

　執務室の扉を勢いよく開けて中に侵入した辺境伯領兵と軍の指揮官の怒号が響き渡り、何かを殴る音も聞こえます。

　僕達も部屋の中に侵入します。

「キャー！」

「これは酷い。アレク君、治療を」

「はい」

　執務室の中では、若い男性と先ほど応対してくれた侍従がお腹から血を流して倒れていました。

　そして、辺境伯領兵と軍の指揮官によって床に押さえつけられている白髪の執事っぽい男性もいます。

　床には血の付いたナイフが転がっていて、恐らく執事っぽい男性が二人を刺したのでしょう。

　幸いにして傷は浅く出血量も少なかったので、治療をすると二人は直ぐに意識を取り戻しました。