四百四十二話 ブーケをゲットしたのは?

 結婚式の後は、女性陣お待ちかねのブーケトスです。

 リズ達は婚約者が決まっているからブーケトスには参加しません。

 しかし、わらわらと多くの独身女性がブーケトスの所にあつまっていきます。


「な、何だか参加者が多い様な気がしますが?」

「しょうがないよ。同級生の女性陣は、まだ結婚していないのが殆どなんだ。だから、皆も下がっていた方が良いよ」

「「「はーい」」」


 僕の呟きに、マイク様が苦笑しながら答えてくれた。

 余りの女性陣の迫力に、リズ達も素直に引き下がります。

 巻き込まれて怪我をしてはしょうがないよね。


「それでは、ブーケトスを行います。どうぞ」

「えい!」


 準備が出来た所で、司祭の合図でセシルさんがブーケを投げ入れます。

 そして投げられたブーケに群がる猛者たちの姿がありました。


「ちょっと、押さないでよ」

「私が取るのよ」

「私が取るの!」

「「「うわあ……」」」


 高く投げられたブーケを目掛けて、女性陣が必死になってポジションを確保しようとしています。

 余りの同級生の女性陣の迫力に、同級生の男性陣はドン引きです。

 そして、ブーケは女性陣の手によって弾かれて、あらぬ方向に。


 パサ。


「「あう?」」

「「「あっ」」」


 何と、ブーケトスの所から少し離れて芝生の上で遊んでいたルイちゃんとエドちゃんの所に、大きく弾かれたブーケが飛んでしまったのだ。

 何がなんだか分からないルイちゃんとエドちゃんが、飛んできたブーケをペタペタと触っています。

 赤ちゃんとはいえ、流石に女性陣は王子様の所にブーケを取りに行く訳には行きません。


「どうやらブーケは、ルイ殿下とエド殿下がゲットした様ですね。おめでとうございます」

「「「グハハハ!」」」

「「「ぐぅ……」」」


 ブーケゲットに失敗した同級生の女性陣を、同級生の男性陣が大笑いしています。

 男性陣は、女性陣の逆襲を受けないようにね。


 ブーケトスの後は、立食形式での披露宴です。

 皆思い思いに料理をとって談笑しています。

 僕達は先にマイク様とセシルさんに挨拶を行ないます。


「結婚おめでとうございます」

「「「おめでとうございます」」」

「「あうー」」

「皆、ありがとうね」

「フラワーボーイとフラワーガール、とっても可愛かったわ」


 ルカちゃんとエドちゃんも、ルーカスお兄様とアイビー様に抱っこされながらやってきました。

 二人とも立派にフラワーボーイをやったもんね。

 セシルさんに頭をナデナデさせられて、ルカちゃんとエドちゃんもご機嫌です。

 と、ここにマイク様とセシルさんの同級生達が集まってきました。

 

「お、この子がブーケをゲットした王子様か」

「猛者達から、よくブーケを守ったな」

「「あう?」」

「お前ら、ちょっと言い過ぎだぞ……」


 同級生の男性陣は、ブーケをゲットしたルカちゃんとエドちゃんの頭をナデナデしていた。

 当のルカちゃんとエドちゃんはというと、何がなんだか分かっていない様子だった。


「お前ら、ちょっとうるさいよ」

「そうだよ!」

「がっつく女性陣が悪いんだぞ」

「来賓もドン引きしていたぞ」


 そして、不機嫌な女性陣が男性陣に文句を言っていた。

 でも、見た感じは男性陣の方が一枚上手の様だぞ。

 うーん、この女性陣は結婚できない冒険者のお姉さんと同じ雰囲気がするぞ。

 と、賑やかなパーティ会場に一人の騎士がやってきました。

 何だかとても慌てた様子だぞ。


「披露宴中申し訳ありません。ストール男爵が温泉街で大暴れをしております」

「「「えっ!」」」


 騎士の報告に、披露宴会場にいた人は皆びっくりです。

 ストール男爵本人が蛮行を犯すなんて。


「ストール男爵は人質をとっていて、こちらも下手に動けません」

「よし、直ぐに行こう」

「私も向かいますわ」

「ゲートを繋ぎます」


 騎士の報告を聞いたマイク様とセシルさんも、直ぐに現地に向かう事になった。

 僕も温泉街にゲートを繋ぎ、最終的にはほぼ全ての来賓客が温泉街に向かう事になった。

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