四百三十六話 不穏な情報
しかし、マイク様とセシルさんの結婚式を巡って、少し嫌な雰囲気が漂ってきました。
「はあ、全く面倒だ。どうもバカな貴族が、今回の結婚式に参加して辺境伯との繋がりをアピールしたいらしいな」
王城に関係者が集まって、緊急の会議をする事になりました。
ため息混じりに話をする陛下を見て、辺境伯様もマロード男爵も釣られてため息を漏らしています。
うーん、またバカな貴族が騒ぎ出したのか。
「ベストール侯爵家の流れを汲むストール男爵家でな、代々の放蕩経営のせいで最近は財政が厳しいそうだ」
「うーん、完全に自業自得な気がしますが」
「全くその通りだ。幸にしてストール男爵は法衣貴族だから、領地を持っていない事だな。今の所、闇ギルドとの繋がりは確認されていない」
話を聞いただけで、とっても面倒くさい貴族だと直ぐに分かった。
領地を持っていたなら、絶対に住民に重税を課していただろう。
「既に辺境伯や男爵は断っているそうだが、今度は余の所に話を持ってきやがった。ベストール侯爵が諌めても、全く話を聞かない様だぞ」
「なりふり構わない感じですね。何をしでかすか、全く分からないですね」
「念の為に、警備の兵を増やす。男爵領は今や生薬研究の中心地だ、男爵領で何かあったら国中に影響が出てくる」
まあ、無難な対応になるけど、兵の増加はしょうがないよね。
しかし、既に断られているのに、今度は陛下に仲介を依頼するとは。
ストール男爵が、ますます面倒くさい存在に思えてきたぞ。
王城での話し合いは終わったのですが、王都の辺境伯様の屋敷で更に話をする事にします。
学園から帰ってきたエマさんとオリビアさんも、今回の話し合いに加わります。
「うーん、事前に辺境伯領とマロード男爵領の防壁にスラちゃんを派遣するとかどうかな?」
「後は、領内をあのポニーさんで巡回するとかも良いかもしれないよ」
「そうだな、その案は採用しよう。両方の領地での巡回も強化しなければならないな」
エマさんとオリビアさんの意見が採用された上に、領内の巡回も強化する事で合意が取れました。
僕と一緒にいたスラちゃんとプリンは早速警備につくというので、僕は辺境伯領にスラちゃんを送ってプリンをマロード男爵領に送りました。
話し合いは、更に続けていきます。
「過去の件もあるので、温泉街の警備も厳重にしましょう」
「兵の数は限られるから、信頼する冒険者に依頼しましょう。冒険者には日頃薬草採取などでお世話になっていますし、良い恩返しになります」
辺境伯様とマロード男爵様の意見も合致したので、ギルドマスターを通じて信頼する冒険者に話をするそうです。
絶対に、ジンさんには声が掛かりそうですね。
「しかし、お兄ちゃんの結婚式を邪魔するバカがいるんだね」
「私が見つけたら、代わりにボコボコにするんだから」
そして大方話が終わると、エマさんとオリビアさんも再びプンプンし始めた。
まあ、自分の兄の結婚式を邪魔する様な奴だから、怒るのも仕方ないよなあ。
という事で、早速明日から冒険者の巡回が始まります。
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