四百三十三話 バイザー子爵領での炊き出し

「いちゃくなーい?」

「すっかり良くなったよ。小さな領主様のおかげだね」

「えへー」


 今日は、バイザー子爵領での炊き出しと無料治療を行っています。

 もう数回バイザー子爵で炊き出しと無料治療をやっているからか、ミカエルはとっても張り切っておばあちゃんを治療しています。

 おばあちゃんに頭を撫でられたミカエルは、満面の笑みを浮かべていました。

 もうすっかりと、ミカエルは小さな領主様としてバイザー子爵領の人に認識されています。

 キチンと辺境伯様がバイザー子爵領をサポートしてくれているし、領民の暮らしもだいぶ向上しました。


「はい、どうぞ」

「おお、べっぴんさんが新たに加わったか」


 アレクサさんも炊き出しに参加していて、出来上がった料理を配っています。

 アレクサさんは料理が上手なので、僕とジンさんにとってもとても助かります。

 炊き出しに並んでいる人にも、アレクサさんは好評の様です。


「ミカエル様は、とっても元気に皆様と接していますわ」

「ええ、最近は絵本を使った文字を書く練習もしているのですよ」


 バイザー子爵領の屋敷の侍従長がイザベラ様と話をしているけど、ミカエルは遊びながら文字の練習をしています。

 このまま順調に育って欲しいです。


「バイザー子爵領の冒険者ギルドにも、多くの冒険者が集まる様になりました。お陰様で、領内は更に人や物が集まる様になりました」


 炊き出しと無料治療を終えた僕達は、屋敷に集まって侍従長から最近のバイザー子爵領の様子を聞きます。

 因みに、ミカエルとブリッドは仲良くお昼寝中です。


「恐らく辺境伯領で初心者を卒業した冒険者が、新たな働き先としてバイザー子爵領を選んでいるんだな」

「ミカエルは辺境伯領の冒険者に大人気だし、ミカエルの領地に興味を持ったのでしょうね」

「そうね。それに辺境伯領には元々バイザー子爵領出身の冒険者も多いし、景気が良くなって地元に戻ったのね」


 冒険者が増えた一因として、ジンさんとレイナさんとカミラさんの意見もあるだろう。

 とにかくバイザー子爵領の景気が良くなって、僕としても一安心です。


「ミカエル様はまだ幼いですので、先ずは順調に育って貰えればと」

「そうですね。ある程度ミカエルが大きくなってから、バイザー子爵領にくる事になりますね」


 僕も侍従長と話をするけど、ミカエルはまだ幼いので先ずは大きくなるのが優先です。

 ミカエルが健やかに育つ様に、僕達も頑張らないと。

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