四百二十四話 イヨを連れて王城へ

 全員が昼食を終えたので、会計をする為にお店の入り口に行きます。


「お会計は良いわよ。イヨの事もあるし、色々と迷惑をかけたからね」

「分かったわ。ありがとうね」

「「「ごちそうさま」」」


 会計に来てくれたオカマさんが、料理の代金はサービスすると言ってきた。

 ティナおばあさまも余計な事は言わないし、そういう事になった様だ。


「このバッグはマジックバッグだから、色々な物が入っているわ」

「お預かりしますね」


 そしてティナおばあさまは、オカマさんからマジックバッグを受け取った。

 でも、このマジックバッグはイヨには結構大きいから、今度僕がイヨにマジックバッグを作ってあげよう。


「じゃあね、イヨも元気にやるのよ」

「色々とありがとう」


 オカマさんはイヨの頭を撫でていたけど、イヨにはちょっと強いみたいだ。

 イヨは自分の髪の毛を直しながら、オカマさんにお礼を言っていた。

 短い間とはいえ、オカマさんはイヨの事を大切に育てたんだなあ。

 とはいえ、明日もオカマさんのお店で料理を食べるはずだし、顔を合わせるだろう。

 

 僕達は教会に戻った後、報告の為に王城に戻ります。

 勿論、イヨも連れて行きます。


「お帰りなさい」

「待っていたよ」


 王城に着くと、何故かメアリとミリアが僕達の事を待っていた。

 何故かなと思っていたら、一緒に現れたアリア様が理由を教えてくれた。


「イヨも連れてくると思ったので、折角だから早い内に年齢の近い人と顔合わせをしておこうと思ったのよ」

「確かに、こういうのは早い方が良いですね」

「折角だから、ミカエルも呼んできなさいな」


 アリア様の進言もあったので、僕は屋敷にゲートを繋いでミカエルとブリッドを呼び寄せます。

 ここは王妃様とアリア様に任せて、僕達は会議を始めます。


「それだけ多くの兵を治療出来たとなると、近い内に一斉に攻勢をかけられそうだな」

「軍の関係者によると、本日治療を行った兵は三日後には軍に合流するそうです」


 陛下に報告するけど、軍の再編とかもあって治療した兵が直ぐに前線に復帰はできない。

 でも、これで懐古派との争いが終わって欲しいなあ。


「とはいえ、新しい組織の問題もある。今の懐古派との争いを隠れ蓑にして、何かを企んでいる可能性もある」

「既に一部地域では新たな組織の動きもありますので、警戒を強めます」


 王国としては警戒を継続するしかないのが歯がゆいけど、こればっかりはしょうがない。

 ここは何とか軍に頑張って貰おう。


「懐古派は数日中に陥落するだろう。兵の治療などがなければ、陥落した日をもって帰還としよう」

「分かりました」


 僕達の任務もあと数日です。

 王国から兵を呼び寄せる事にならなくてよかったなあ。

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