四百二十一話 王城での会議

 僕達が教皇国から王城に到着すると、アリア様とティナおばあさまとジンさんと僕は会議室に案内されました。

 それ以外のリズやアレクサさん達は、ルカちゃんとエドちゃんの所に向かいました。

 王妃様も会議に参加するとの事ですので、レイナさんとカミラさんがルカちゃんとエドちゃんの相手をします。


「我々が把握している情報が裏付けられただけでなく、今起きている情報も手に入れられたか」


 アリア様とティナおばあさまからの報告を受けた陛下は、ふうと一つ呼吸をついてから話し始めた。

 闇ギルドに関する情報として目新しいものもあったし、新たな対策も取ることができる。


「いずれにせよ、闇ギルドの過激派は新たな拠点を見つけた可能性が高いと思った方が良さそうだな」

「辺境伯領では、闇ギルドの構成員が一般人に変装して悪事を働いております。闇ギルドも動きを変えてきております」

「とはいえ、各領地の警備は厳重にしないとならない。後は、不審な資金の動きがないか確認する必要もあるな」


 陛下と軍務卿が話をしているけど、今後闇ギルドがどんな行動に出てくるか分からないもんな。

 辺境伯領だとスラちゃんとプリンの監視のバイトを再開させて不審者を捕まえることはできるけど、王都だと中々難しいもんな。


「とはいえ、何も対応を取らないより何かをした方が良いと思います。アイビーに頼んで、アマリリスを王都の防壁の監視に加えて貰いましょう」

「うむ、そうだな。何もやらないよりかは良いだろう」


 ルーカスお兄様の進言もあり、アイビー様の従魔であるアマリリスが出動する事になった。

 アマリリスは小さな蜘蛛だけどとっても強いし、不審者を見つけた実績もある。

 当分はアマリリスの活躍に期待しよう。


「あと、アレクとジンと叔母上には念の為に懐古派の砦が陥落するまで教皇国に通って貰おう。何が起きるか分からないのでな」

「分かりました」

「そのイヨという娘も、保護する事を許可しよう。アレクに興味を持っている様なので、引き離すのは酷だろう」


 僕達の当面の行動も決定したし、イヨの事も保護する事が整式に決定した。

 最後の最後に懐古派が暴走する可能性もあるし、万全を期す方が良いだろうな。


 という事で僕達が参加しての会議は終わり、この後は担当者の会議で対策を詰めるそうです。

 僕達は会議室を後にして、リズ達がいる部屋に移動します。

 すると、部屋に入った瞬間、エレノアが僕に詰め寄ってきました。


「アレクお兄ちゃん、イヨちゃんってどんな子なの!」


 おい、女性陣よ。

 一体エレノアにどんな説明をしたのか。

 エレノアはイヨの事を完全に恋敵って思っているぞ。


「リズ、エレノアにイズの事をどうやって紹介したんだよ?」

「お兄ちゃんの事が気になっている女の子って言ったよ」


 リズよ、思いっきり説明を端折っているぞ。

 それだと、イヨがただ単に僕に好意を持っているだけに聞こえるぞ。


「どうせ、遅かれ早かれイヨもアレク君の婚約者になるでしょうね」

「そうそう、私もそう思うよ」

「ほら! 他の人もそう言っているよ!」


 レイナさんとカミラさん、火に油を注がないで下さい。

 エレノアが更に勘違いをして、ますますヒートアップしてきたぞ。

 結局エレノアを宥めるのに、軽く三十分はかかってしまった。

 

「ククク。アレク、モテる男は違うなあ」


 ジンさん、僕の事を他人事だと思っているけど近い内に痛い目に合いますよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る