三百九十八話 旅に向けての準備

 ルーシーお姉様とジェットさんの事も落ち着いたので、僕達は懐古派が占拠する砦に向かう為に急いで支度をしています。

 

「お兄ちゃん、食べ物もいっぱい買うの?」

「買うよ。何があるか分からないから、多めに買っていくよ」

「分かった!」


 今日はリズとサンディと共に、辺境伯領の商店街でお買い物です。

 まあ、安全を考えて夜は屋敷に戻る予定だから、実際にはあまり食事をする予定はない。

 だけど、何があるか分からないから、色々と多めに用意します。

 幸いにも僕とスラちゃんとプリンはアイテムボックスを使えるので、沢山食料を買ってもあっという間に収納できます。

 聖女様襲撃事件の反省から、ポーションと毒消しポーションも多めに買っていきます。

 毛布とかも購入したし、これで準備万端です。


「服はおばあちゃんが用意してくれるんだよね?」

「そうだよ。今回はサイズ直しだけど、そのうち騎士服を新調するんだって」

「私の分も用意してくれるって言っていました」


 商店街からの帰り道、三人で仲良く手を繋ぎながら道中の服装について話をします。

 元々騎士服はもっていたけど、三人の背が大きくなったのでティナおばあさまが新調するって張り切ってました。

 流石に三日間では服はできないので、今回は今ある騎士服を手直しするそうです。

 そんな話をしながら、僕達は屋敷に到着します。

 荷物も揃ったし、これで万全です。


「おお、帰ってきたか」

「ジンさん、レイナさん達の準備はどうですか?」

「ははは、全く終わらねえ。道中の準備は終わったが、道中のおやつを決めかねているぞ」

「おやつが決まらないなんて、レイナさんらしいですね」


 レイナさんの支度に巻き込まれない様に、レイカちゃんとガイルちゃんを抱っこしながら僕達の屋敷に避難していました。

 お菓子を巡って準備が終わらないなんて、如何にもレイナさんとカミラさんらしいな。

 因みに、ミカエルとブリッドは部屋で仲良くお昼寝中です。

 とそんな事を思っていたら、今回の買い出しでリズとサンディがお菓子を何も買っていない事に気がついた。


「リズとサンディは、お菓子を買わなくて良かったの?」

「お兄ちゃんが作ったのがあるから大丈夫!」

「アレク様の作ったプリンは、下手なお菓子よりもとても美味しいです」


 ああ、そういう事ですか。

 まあ、お菓子をいっぱい食べるよりも栄養価の高い僕の作ったプリンの方が良いよね。

 現に、今もリズとサンディはプリンを食べているし、僕もプリンはアイテムボックスに入れて行くつもりだ。


「旅の支度は万全だし、どうでも良い事で準備できていないだけだしな。最悪、道中の村とかで現地調達すれば良いだけだし」

「それは分かります。たまに意外な場所で、とても美味しい食べ物に出会う時もありますよね」


 ティナおばあさまも各地の美味しい物を食べるのが好きだし、閣僚とかも庶民料理は大好きだ。

 特にバザール子爵領の万能ソースなんかは、とても良い例だろう。

 不味いものじゃなければ、全く問題ないだろうな。


「さて、良い加減準備ができているはずだし、俺は屋敷に戻るな」

「はい、分かりました」

「「あうー」」

「「ばいばーい」」


 良い頃合いになったので、ジンさんはレイカちゃんとガイルちゃんを連れて屋敷に戻りました。

 因みにジンさんの屋敷では、リリーさんとクラヴィーアさんに怒られながら未だに荷造りをしていたレイナさんとカミラさんの姿があったそうです。

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