三百六十六話 王都への帰還
応接室には、前教皇の他にヤークス新教皇とサイファ枢機卿も同席していた。
最初に前教皇が、僕達に感謝を述べていた。
「皆様、この度は教皇国を救って頂き感謝致します。こうして民が笑顔で過ごしているのも、皆様のおかげです。教皇国を代表して、お礼を申します」
「いえいえ、こうして教皇国が平和になった事を、私達も喜んでおります」
「我が国の友好国でもある教皇国がこうして平和になった事は、とても意義深い事でもあります」
「私達も、人として当然の事をしたまでですので」
僕達は、ティナおばあさまとシェジェク伯爵とクレイモアさんが対応しています。
教皇国の脅威がなくなる事は、王国にとっても大きな影響をもたらします。
とはいえ、懐古派が全滅した訳じゃないので、今後も教皇国内での捜索は続きます。
「アホスタイル枢機卿の出身地については、各国へ定期的に報告します。協力を依頼する際には、改めて要請致します」
「協力は惜しみませんので、遠慮なくご連絡下さい」
ヤークス新教皇は懐古派対応という大きな宿題があるけど、各国は協力を約束していた。
というか、更なるリベンジマッチで暴れさせろと言った感じだろう。
「聖女様とブリットの件は、私が対応しますので。特にブリットは、一刻も早く勇敢なる天使様にお会いしたいでしょうから」
「予定外の事とはいえ、よろしくお願いします。早く会えれば、あの子も喜ぶでしょう」
サイファ枢機卿には、ミカエルの事で苦労をお掛けします。
国家間の大物同士の婚約だから、調整する事が沢山あるだろう。
でも、今までの懐古派の暴走対応と比べればめでたい事なので、サイファ枢機卿の表情はとても晴れやかだ。
そして、カレン様ともここで一旦お別れとなります。
「皆様、本当にお世話になりました。皆様に会えなければ、私は懐古派に襲われた時に命を落としていたでしょう。直ぐに会えると思いますが、皆様とは、一旦ここでお別れになります」
カレン様は、僕達に深々とお辞儀をしてお礼を言っていた。
ルーカスお兄様との婚約が決まった経緯は、今度王城にきた際に教えてくれるという。
前教皇とヤークス新教皇とサイファ枢機卿とカレン様と別れて、全員で王城に向かう事になった。
直ぐに会議室に通されて、陛下と閣僚と共に会議です。
寝てしまったミカエルは、エレノアやリズにサンディと共にルーシーお姉様の部屋に移動します。
「長い様で、あっという間の一週間だったな。両国の使者には後ほど余からの手紙を渡すので、トップに渡してくれ」
「「はい、承りました」」
先ずは、陛下から僕達への労いの言葉で会議が始まった。
「まだ火種は残っているが、首謀者を無効化したのは大きい。懐古派も暫くは派手に動く事はできないだろう」
「教皇国も新体制になったばかりで、本拠地に乗り込むのが難しいのが痛いですね」
「仕方なかろう。ともあれ、当面は教皇国からの連絡待ちじゃな」
陛下もアホスタイル枢機卿を倒したのが、教皇国にとっても大きいと見ていた。
ヤークス新教皇に、今後の期待をするしかない。
「気になるのは闇ギルドの方だ。今回も闇ギルドが絡んでいるのは間違いないのだが、以前の様に前面に出てくる事がなくなった。恐らく、闇ギルド内で何かあったと見た方が良いだろう」
「確かに闇ギルドから出ている薬や魔導具は確認しましたけど、王国でも構成員を見ていないですね。ピエロとドクターが現れてから、その傾向が顕著になった気がします」
「なら、こちらはあらゆる想定をして準備を進めるまでだ。方針は変わらぬよ」
ここの所の闇ギルドの動きが、僕にはよく分からないんだよなあ。
手をかけずに影響を及ぼそうという意図は見えているけど、以前の様に闇ギルド自体が暴れる事がない。
この件も、暫くは様子見だよなあ。
「どちらかというと、ミカエルと聖女候補者との事の方が驚きだ。ジンの聖剣と共に、王国のイメージを高める大きな働きをした」
「あの、陛下。俺の剣が聖剣になったのは、ミカエルがブリットを守ったのと同列ですか?」
「ジンは二つ名の件もあるし、アレクとリズといるのだからその位何かをしても不思議ではない。半月後に教皇国での一連の功績で呼ぶから、ジンは謁見服をキチンと揃えておく事だな」
「か、畏まりました」
もうジンさんが何か功績をあげても、ジンさんだからなあで落ち着きそうだ。
陛下も少しニヤリとしながら、ジンさんに謁見の準備をする様に命じていた。
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