三百四十五話 首謀者の発覚
少しして落ち着いた子ども達は、大教会のシスターの案内で迎賓館の宿泊する部屋に移動した。
完全に孤児院が崩壊してしまったので、今日の所はそのまま迎賓館に泊まるという。
そして、僕達には今回の件で報告があるという事です。
「リズ殿下が犯人を捕まえてくれて本当に助かりました。直ぐに奴らの目論見が分かりました」
「昨日今日とかなりの数の懐古派が捕縛され、奴らは一気に勢力を落としました」
「焦った懐古派の一部が、みせしめの為に孤児院に爆破型の魔導具を仕掛けた様です」
「自分達の主義主張を通す為だけに、孤児院に魔導具を仕掛けたのですか」
ヤークス枢機卿とサイファ枢機卿が報告した内容に、会議室にいる全員が憤っている。
何も罪の無い子ども達が、テロリストの標的になったのだからだ。
「今までの事もありましたが、今回の孤児院爆破事件を受けて懐古派を正式にテロリストと認定しました」
「現在、皆様の従魔とポニーも同行して、昨日に引き続き皇都の大規模な捜索を行っています」
「スラちゃんとプリンちゃんもとっても怒っていたよ。勿論、リズも怒っているの」
「アマリリスもやる気になっていましたわ。不審者には、容赦なく電撃を浴びせてもらいたいですわ」
スラちゃん達にポニさん達も、孤児院爆破事件にはかなり怒っていたもんな。
相当な意気込みで、聖騎士と共に街に繰り出していた。
因みにミカエルは自分と同じ小さな子が怪我をしたので、気になって二人が運ばれた医療施設に行っている。
プリンと近衛騎士が護衛についているから、大丈夫だろう。
「そして、昨日捕まえた司教を取り調べたら、先程とんでもない事が分かった。奴らは懐古派に繋がっていて、資金提供をしている事が分かった」
「自分達が推す枢機卿も懐古派に繋がっている事が分かったのだが、姿を消しやがった。元々公の場に来るのが少ない枢機卿だったが、その理由が分かった」
「バカスタイル枢機卿と言います。既に暫定で職務停止にしました。投票対象からも外れます」
成程、その枢機卿を担ぎ出して、懐古派の傀儡政権を作るつもりだったのか。
そして配下の司教や司祭に資金集めをさせて、見返りを与えるという。
武力と併せて政権奪取も行っていたのか。
流石に教皇も、教会関係者の大規模な不正にショックを隠せない様だ。
「元々教皇選挙にはヤークス枢機卿とバカスタイル枢機卿が立候補していた。バカスタイル枢機卿が職務停止により、ヤークス枢機卿の一択になったのだ」
「とはいえ、このままでは行かないでしょう。僕もその事は分かります」
という事は、教皇選挙の日がポイントになりそうだ。
それまでは、不審者の取り締まりとバカスタイル枢機卿の行方を追う事になりそうだ。
僕達の身の安全を確保しつつ懐古派を捕まえるという、中々難しいミッションだな。
「まあ、アレク殿下ならチョチョイのちょいで解決するかと」
「そうですな。こちらには、アレク殿下がいらっしゃる」
「何も心配する事はない」
おいおい、教皇国だけでなく王国や帝国の人も混じって何を言っているのですか。
僕はお悩み解決人じゃないですよ!
とりあえず会議は終了し、王妃様や皇妃様をそれぞれ送ろうとした時だった。
「大変です! 医療施設の担当者に懐古派が紛れていて、戦闘になりました」
「「「えっ!」」」
慌てた様子で、大教会担当のシスターが会議室に駆け込んできた。
まだまだトラブルが続きそうだ。
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