三百四十六話 勇敢な天使様
「確か医療施設には、ミカエルも様子を見に行っているのでは?」
「近衛騎士がついているとはいえ、様子を見にいかないといけませんわ」
僕の言葉に王妃様が反応した。
結局王妃様と皇妃様を送っていくのは後回しにして、皆で現場に向かう。
プリンもミカエルと一緒にいるから、きっと大丈夫だと思いたい。
そして、医療施設に入った時に先に現場に駆けつけていた聖騎士が、困惑した表情で報告を受けていた。
「はあ? 襲撃者二名が幼児とスライムに倒された?」
「はい、完璧にノックアウトされていました」
その言葉を聞いて、僕達は別の心配をする事になった。
「ミカエルとプリン、やり過ぎてないかな……」
僕の言葉に、皆は無言で首を振っていた。
そして現場となった医務室に向かいます。
ここには、先程運ばれたシスターとブリットというミカエルと同じくらいの子どもがいたはず。
「「あばばば……」」
床にはプリンの電撃を浴びたのか、体が痺れて動けない不審者が転がっていた。
よく見ると、手足には何かで叩かれた痕もある。
「ぶりちゃは、みかがまもりゅ!」
そして女の子が横たわってるベッドの前では、ミカエルが木剣を手に持って仁王立ちしていた。
ミカエルの頭の上には、同じく構えているプリンがいた。
ベッドにいる女の子はとっても驚いているし、ミカエルの側にいたランカーさんは苦笑している。
とりあえず、ランカーさんに話を聞いてみよう。
「不審者がドアを開けて中に入った時には、いつの間にかミカエルちゃんとプリンちゃんが不審者の前に移動していまして。私が止めるまで、二人は不審者をボコボコにしていました」
「ランカーさん、すみません。二人を止めてくれて、ありがとうございます」
つまりは、ランカーさんをすり抜けて二人は不審者をボコボコにしたと。
ま、まあ、鑑定でも懐古派って出ているし、よしとしておこう。
「ミカちゃん、凄かったね!」
「よく不審者を倒したね」
「えへへ」
いやいや、いくら魔法を使ったとはいえ、二歳児が大人を倒したんですよ。
皆さんミカエルの事を褒めているけど、結構大事の様な気もするよ。
そんな時、びっくりしていた女の子がようやく起動した様だ。
因みにシスターはまだ寝ています。
「みかちゃんは、てんししゃま?」
「にーにとねーねが、てんししゃまだよ!」
「でも、みかちゃんも、てんししゃまだもおもゆ」
そりゃそうだよね。
目の前で大人を倒す幼児なんていないよね。
ブリットという女の子は、キラキラした目をしてミカエルの事を見ていた。
「ほほほ、ミカエルちゃんも、天使様に違いない。まさに勇敢な天使様じゃ」
「そうですわね。王国でも私の事を体を張って守ってくれましたし、さっきも一生懸命にブリットの事を治療していましたわ」
「やっぱり、みかちゃんはてんししゃま!」
あ、教皇様とカレン様もミカエルの事を天使様って呼んでいる。
二人の話を聞いて、ブリットはやっぱりって表情をしているよ。
「因みにこのブリットは孤児なのですが、私と同じく聖魔法が使えるので未来の聖女様候補になります」
「おお、ミカちゃんは聖女様候補を守ったんだ!」
「ミカエルちゃんも頑張ったね!」
「えへへ」
ティナおばあさまに頭を撫でられて、ミカエルは満面の笑みを浮かべている。
うーん、ミカエルは中々の大物を助けた事になったんだな。
「双翼の天使様の従兄弟が、勇敢な天使様ね。従兄弟揃って凄いわね」
「アレク君の教育の賜物ですわね」
「ははは、流石はアレク君だ」
「いやいや、皆様何を言っているのですか!」
何故か王妃様と皇妃様と辺境伯様から、僕の事を持ち上げる発言があった。
でもミカエルが良い子に育ったのは、周りの人のお陰でもあるんだよね。
そして幼いミカエルが聖女様候補を守って二つ名を得た話は、僕が送って行った王妃様と皇妃様と辺境伯様に加えて教皇様と枢機卿によって、あっという間に各国に広まっていったのだった。
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