三百三十七話 教皇との面会
「はあ、もはや懐古派はテロリストになっていますね」
「わざと人が集まる所を狙ったのだろう。自分達の影響力を誇示する事も含めているのだろうな」
「正に、その通りになります。頭の痛い事です」
ジンさんとサイファ枢機卿と話ながら、教会の中を進んでいきます。
僕達の後ろには、ワーロード司祭もついてきています。
祭壇付近には、この前会ったヤークス枢機卿とレリーフ枢機卿にナッシュ枢機卿が待っていた。
そして、豪華な衣装を身に纏った老人が、こちらに歩み寄ってきた。
「ようこそ教皇国へ。そして、民を救って頂き深く感謝いたします。教皇をしております、ブレアと申します」
「教皇様、お久しぶりにございます。お元気そうで何よりです」
教皇と顔見知りでもあるティナおばあさまが、がっちりと握手をした。
教皇はだいぶお年の様だが、足取りはしっかりしていた。
「私も皆様の戦いを見ておりました。救国の天使様とも言われておりますが、正にその通りですな」
「教皇様にその様な言葉をかけて頂き、光栄にございます」
そして教皇は、僕達と握手をしていく。
スラちゃんやプリンとも握手してくれているよ。
「そうだ。アレク君、聖女様をここに呼びましょう」
「はい、そうですね」
カレン様も教皇に会いたいはずだ。
僕は王城にゲートを繋いでカレン様に話をすると、ルーカスお兄様達も一緒についてきた。
「教皇様、色々とご心配をおかけしました」
「いやいや、其方が無事で何よりだ。よく戻ってきてくれた」
「教皇様!」
カレン様と教皇は、お互いに固く抱き合っていた。
うっすらと涙を流している。
「おーいおいおい」
そんな二人の抱き合う様子に周りにいた教会関係者も涙を流していたけど、ヤークス枢機卿は一眼も憚らずに号泣している。
ゆっくりと話そうと、応接室に案内された。
流石に豪華な教会の中では緊張もするよね。
「教皇様、陛下よりお預かりした書状になります」
「ふむ、どれどれ。ほほ、これは中々の事が書かれておるな」
ルーカスお兄様が教皇に手紙を渡すと、教皇は面白い物を見たといった感じで手紙を見ていた。
ルーカスお兄様は手紙の中身を知らないのか、ちょっとはてなって感じになっていた。
「いやいや、笑ったりしてすまんのう。陛下からの書状を確かに受け取った。長旅で疲れているだろうから、ゆっくりと休む様に」
と、僕らと少し話した後に宿泊する部屋に案内される事になった。
「ふふふ」
ティナおばあさまだけ書状の中身を知っている様だけど、この感じでは教えてくれない様だな。
「あ、教皇様。帝国と共和国の方はいつお呼びすれば良いですか?」
「ふむ、そうじゃなあ。夕食前で良いじゃろう。そのタイミングでお願いしよう」
「はい、分かりました」
となると、夕食前まで特にやる事がなくなったので、僕達が宿泊する所に案内してもらう事に。
案内はカレン様がするというので、僕達はカレン様の後について行きます。
「ここが要人が宿泊する迎賓館となります。皆様の部屋に案内しますね」
「おお、立派な建物だ!」
教会と同じ敷地内に迎賓館が建っていた。
迎賓館だけあって、流石に豪華な作りだな。
カレン様は係の人を呼んでくれて、部屋に向かって行く。
というか、係の人もシスターみたいな服装をしているんだな。
迎賓館の奥の方に、宿泊する為の部屋があるという。
「こちらになります。一人一部屋になります」
「おお!」
部屋はかなり豪華な作りになっていた。
応接室と寝室が分かれていて、専用の侍従も付くという。
「あれ? もしかして、僕とリズも一人部屋ですか?」
「左様で御座います」
「えー!」
もしかしてと思って係の人に部屋の割り振りについて聞いてみたら、思った通り一人一部屋になっていた。
リズは一人じゃ寝る事ができないからなあ。
「ふふ、じゃあアレク君とリズちゃんは私と一緒の部屋にしましょうね」
「わーい!」
「結局そうなるよね」
分かりきっていたけど、僕とリズはティナおばあさまと一緒の部屋になり、ジンさんと近衛騎士で残りの三部屋を使う事になった。
「ジンも一緒の部屋にする?」
「勘弁して下さい……」
ティナおばあさまのお茶目な提案に、ジンさんは疲れた様に返事をしていた。
ともあれ、これでようやく一息ついたね。
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