三百一話 カレン様とミカエル

 折角なので、次の日に早速ミカエルを連れて王城に行きました。

 因みにリズ達は課題が終わらず、ジンさんとスラちゃんとプリンもルカちゃんとエドちゃんのベビーシッターに借り出されてしまったので、ティナおばあさまと僕とミカエルとルーカスお兄様でカレン様の元に向かいます。


「まあ、とても可愛らしいですわ」


 ミカエルを見た瞬間に、カレン様のテンションが爆上がりしていった。

 本当に子どもが好きなんだな。


「ミカエル、カレン様ですよ」

「にー、カレ?」


 僕の膝にミカエルを座らせて、早速ご対面。

 ミカエルは僕の事を見上げて、カレン様の事をカレと口足らずに言っている。

 どうもそんなミカエルの様子が、カレン様にはどストライクだった様だ。


「ミカエル、ご挨拶はできるかな?」

「カレ、ミカ!」

「まあ、元気よくご挨拶ができて偉いわね」


 いつも一緒にいるリズの影響もあるのか、ミカエルの挨拶はとっても元気だ。

 そんなミカエルの頭を撫でながら、カレン様はとっても良い笑顔を見せている。


「ミカエル、カレン様はまだ調子が良くないから、今度抱っこしてもらおうね」

「にー、カレ、ポンポン痛い?」

「あはは、リズが食べ過ぎてお腹を痛くする事があるので、ミカエルはカレン様も同じだと思っている様です」

「この年で気遣いもできるなんて、この子はとても良い子ですね」


 ミカエルはとても頭が良いからな。

 歳の割に周りの事をよく見ているよ。

 折角なので、ミカエルをベッドに座らせてカレン様の横にいて貰った。

 ミカエルはこてんとカレン様の膝上に転がって、ニコニコしている。

 カレン様も、慣れた手つきでミカエルの頭を撫でていた。


「ティナ様、ルーカス様、アレク様、この様な機会を設けて頂いて有難う御座います。流石にちょっと落ち込んでいたところもありましたので、気分転換ができました」

「本当に大変な事がありましたから、気分転換にこのくらいはいつでも協力しますわよ」

「体が動ける様になったら、また気分も変わってくると思います。暫くは賑やかの方が良いですね」


 暫くしたらミカエルが寝てしまったので、僕は屋敷にミカエルを戻しに行った。

 そしてしみじみとカレン様が話をしているけど、あんな襲撃事件があって体が動けなくなったんだから、そりゃ気分も落ち込むよね。

 そんな事を思っていたら、またもや小さな竜巻がやってきた。


「宿題終わった! あれ? お兄ちゃん、ミカちゃんは?」

「寝ちゃったから屋敷に戻ったよ」

「えー!」

「ふふふ」


 宿題を終えて真っ先に医務室にやってきたリズ達だけど、ミカエルが既に帰った事に文句タラタラだ。

 カレン様は、そんな僕とリズのやりとりを見て少し楽しそうに微笑んでいた。

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