二百九十九話 目を覚ました聖女様

 聖女様が目を覚ましたのは、襲撃されてから三日後のお昼の事だった。

 報告を受けたのがお昼ご飯中だったので、食べ終えてから皆で医務室に向かっていった。


「静かに入るのよ。医務室内でも騒がない様にね」

「「「はーい」」」


 念の為にと、ティナおばあさまからリズ達に注意がいく。

 流石にリズ達も分かっているので、大人しくティナおばあさまの後をついていった。


 コンコン。


「失礼します」

「どうぞ、お入り下さい」


 医務室に着いてノックをしたら中から看護師の声が聞こえたので、皆静かに医務室の中に入っていく。

 ベッドに寝ている聖女様は病院着みたいな物を着ていて、まだベッドから起き上がれない様だ。


「おお、皆様お揃いで。聖女様が目を開けた瞬間は、私は神に感謝しかないと涙しましたよ」


 出迎えてくれたサイファ枢機卿は今は笑顔だけど、目が赤くなっているのを見ると聖女様が目覚めた瞬間は号泣していたのだろうな。


「聖女様、この方々が聖女様をお救い下さいました」


 僕達が聖女様のいるベッドサイドに近づきサイファ枢機卿が聖女様に話しかけると、聖女様はこくりと頷いている。

 やはり聖女様は毒と出血多量のダメージが大きいので、少しずつ動ける様にリハビリをしないと行けなさそうだ。


「でも、無事に意識を取り戻す事ができて良かったわ。慌てずゆっくりと、少しずつリハビリを行いましょうね」


 ティナおばあさまが、微笑みながら聖女様の頭を撫でていた。

 聖女様はこくんと少し頷いて、そして目を閉じた。


「さあ、聖女様はまだ目覚めたばかりだから、今日はこの位にしておきましょうね」

「「「はーい」」」


 ティナおばあさまの声かけに、皆も大人しく声をあげている。

 僕達はサイファ枢機卿に見送られながら、医務室を後にした。


「聖女様が無事に意識を取り戻したから、後は暫くリハビリを行わないと。皆も聖女様のリハビリを手伝ってあげてね」

「リズ、聖女様の為にいっぱいお手伝いをするよ!」


 王族専用のスペースに戻りながら話をしているけど、聖女様は出血多量の影響で意識を取り戻せない可能性もあったという。

 医務室にいた医務官曰く、聖女様は無事に意識を取り戻せたので峠は越えたとの事らしい。

 何はともあれ、ほっと一安心です。


「そう、無事に意識を取り戻せて良かったわ。暫くは食事を食べて、体力を戻す所から始めないと」

「王城の中なら安心してリハビリできるから、私達も顔を出す様にするわ」


 ルカちゃんとエドちゃんの育児室に向かい、王妃様とアリア様にも聖女様が意識を取り戻した事を報告した。

 ティナおばあさまと同じ感想だったけど、何よりも無事に意識を取り戻した事を喜んでいた。


「あうー」

「あうあう」

「ルカとエドも、もう少ししたらお姉さんに会いに行こうね」

「お姉さんも二人に会ったらきっと喜ぶわ」


 王妃様とアリア様は、それぞれルカちゃんとエドちゃんを抱っこしながら話しかけていた。

 流石にルカちゃんとエドちゃんは、王妃様とアリア様の言葉に反応しているだけだけど、もしかしたら二人の存在は聖女様のリハビリの息抜きになるかもしれないな。

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