二百九十七話 緊急会議
流石に血塗れの服まま話し合いはできないので、生活魔法で皆の服を綺麗にしていく。
そして、スラちゃんがアイテムボックスから椅子とテーブルを取り出して青空会議の開始です。
「皆様には聖女様をお救い頂き、感謝のもうしようもありません。特にジン様の功績はとても大きいと、現場に向かった聖騎士も申しておりました。流石は双翼の天使様のお師匠様です」
会議に先立って、グレアム司祭が僕達に感謝を述べていた。
ジンさんが毒を見抜いて先に状態異常の治療をと言わなかったら、聖女様を助ける事ができなかったよね。
僕達だけでは聖女様を助けられなかったのは間違いない。
「簡易調査の結果ですが、今回の三人の犯人はグルでした。先に魔導具でゴブリンを誘き寄せ、ゴブリンの襲撃に失敗した保険として刃物と毒を用意していた様です」
「聖女様はゴブリンに襲われて死んだという、懐古派に都合の良いストーリーが欲しかった様ですな。懐古派に疑惑が向かない様にして聖女様を殺害しようとした様です」
ヤークス枢機卿とナッシュ枢機卿の話は、ある意味納得できるものだった。
全てをぶち壊す事を望んでいる懐古派にとって聖女様は邪魔なので、都合良く殺したかったのだろう。
途中までは懐古派の目論み通りに成功していたけど、僕達の介入で失敗したという訳か。
「どうやら、三つの派閥に懐古派が浸透している様です。今回の犯人は、各派閥から選ばれていました」
「懐古派にとっては、聖女様殺害の責任を三つの派閥になすりつける事もできると。とんでもないな」
レリーフ枢機卿の話にサーゲロイド辺境伯が答えている。
もしこの目論見が成功していたら、教皇国内は大混乱していただろう。
「そして極め付けが魔物を呼ぶ魔導具と毒か。どう考えても闇ギルドと繋がっているな」
「既に皇都に駐在している聖騎士に命令して、大規模な捜索にでている。前々から懐古派の持っている魔導具には懸念があったが、決定的と見て良いだろう」
軍務卿の結論にヤークス枢機卿が賛同している。
あれだけの魔導具を用意できる所なんて、限られているからな。
「とりあえず聖女様の回復を優先として、当面の式典は中止しましょう。教皇国での捜索の進展と、聖女様の回復を待ってから今後の事を決めましょう」
「こちらとしては、聖女様の治療を王国にお願いするしかない。選挙云々以前に、目の前の大きな障害をどうにかしないとならないな」
外務卿の発言で、今後の事が決定した。
ナッシュ枢機卿も、やるべき事の優先順位を誤っていなくて良かった。
とりあえず会議は終了し、枢機卿達は調査が終わり次第直ぐに皇都に向かうという。
僕達もポニさん達を屋敷に戻して、サーゲロイド辺境伯と共に王城に向かった。
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