二百八十一話 教皇国側との打ち合わせ
「サーゲロイド辺境伯様、お待ちしておりました。アレク殿下、軍務卿閣下、外務卿閣下、ようこそ教皇国へ」
「うむ、出迎えご苦労じゃ。さあ、行くぞ」
「はい」
国境を渡ると、直ぐに教皇国側の兵が出迎えてくれた。
何だか神秘的な模様が彫られている鎧に身を包んでいるぞ。
「素晴らしい細工が施された鎧ですね」
「流石はアレク殿下、ご慧眼です。この模様は神を守るべき聖騎士団の証となります」
「そういう事は、皆さん教皇国の騎士の中でもエリートなんですね」
「恐れ入ります。私どもは国境を担当する聖騎士団となります。聖女様をお迎えする際にも、我々が警護に就く予定であります」
現地の代表に会う為に聖騎士と辺境伯領の兵に警護されながら、僕達は教皇国の街並みを歩いて行きます。
特にサーゲロイド辺境伯領との違いは見られないけど、若干教会関連の品を扱っている店が多いかな?
シスターっぽい服を着ている人も普通に街の中を歩いているし宗教の国って感じはするけど、街の人もいたって普通だ。
そんな街中を十分ほど歩くと目的の代表のいる施設、というか立派な教会に辿り着いた。
「うわあ、立派な教会ですね」
「宗教という一種の威厳をあらわしておりますからね。では、執務室にご案内いたします」
執務室は教会の中ではなく、外に併設された建物にあるという。
教会内の施設なだけあって、働いている人も教会関係者の服を着ているぞ。
三階建ての石造りの建物の最上階に、代表の執務室があるという。
「失礼します。サーゲロイド辺境伯様御一行が到着されました」
「おお、きたか。入っておくれ」
おや?
中からテンションの高い声が聞こえてきたぞ。
扉が開くと、司祭服をきた白髪の長い髪のお爺さんがとっても元気な表情で僕達を出迎えてくれた。
何だか元気なお爺さんから僕に向けてとっても熱い視線を感じている。
「遠い所からはるばる教皇国へようこそ。儂が王国との国境を預かっているグレアム司祭じゃ」
「ご丁寧にありがとう御座います。私はアレクサンダーと申します。どうぞ、アレクとお呼び下さい」
「うんうん、立派な返答じゃ。まさに双翼の天使様に相応しい」
あ、あの、グレアム司祭様が目を輝かせて僕を見ているのですけど。
それに僕の二つ名って、冒険者ギルドでの二つ名じゃなかったっけ?
「実は教皇国内で双翼の天使様の名はとても有名じゃ。幼くして数多くの武功を打ち立て、福祉活動にも熱心。そして、帝国内での活躍を外交担当が直に見て、帰国時に興奮しながら周りの者に語っておったそうじゃ」
「え、そうなんですか!」
「うむ、儂もどんな子どもなのかとても楽しみにしておってな。知性と品格に優れた子どもで、儂はとても感動しておる」
「恐縮です……」
な、何だかグレアム司祭がとんでもなく感動している。
というか、サーゲロイド辺境伯もうんうんと頷いているぞ。
流石に軍務卿と外務卿は僕の方を見て苦笑している。
とりあえず話を進めないと。
「王国からはルーカス殿下とアイビー様、それに私とエリザベスとロンカーク伯爵家当主が参加いたします」
「閣僚からは、私、外務卿と軍務卿が参加する予定となっております。サーゲロイド辺境伯も参加いたします」
「おお、何と既に未来の名君になるだろうと言われているルーカス殿下も参加されるとは。これは中々素晴らしい陣容ですな」
出席者を伝えると、グレアム司祭が更に興奮している。
そんなに興奮して、心臓が止まったりしないかとっても不安です。
「聖女様が通られる街道は、聖騎士と冒険者を中心にして魔物討伐を行なっておる。今の教皇国は、何かと政情不安で万全の対策をしておきたいのじゃ」
「懐古派の事ですか?」
「うむ、奴らは勢力を急拡大させておる。儂はもしかすると闇ギルドと繋がっているのではないかと考えておる」
「過激派と聞くだけで、闇ギルドとの繋がりを疑ってしまいますね」
まあ、あの連中は本当に何をやってくるかわからないから、できるだけの対策を取らないといけないね。
当日は僕もフル装備で対応予定です。
「細かい所はサーゲロイド辺境伯とも詰める。教皇国からも何人か参加する予定じゃ」
「うむ。詳細は国にも伝えよう。警備関連もこれから詰めないといけない」
という事で、話し合いはこれで終了。
これからも定期的に会議を行うことで、今日の話し合いは終了です。
初回なので、これくらいで十分という事になりました。
そして、話が終わった所でお茶くみをしていたシスターがわらわらと出てきた。
え?
なになに?
「司祭様、私も双翼の天使様とお話をしたいのですが」
「おお、難しい話は終わったぞ」
「それでは、失礼しますわ」
ええ!
部屋に二十人以上のシスターが入ってきたぞ。
一体どういう事?
「ははは、今日ここにアレク殿下がくると聞いてな。シスターがどうしても会いたいと言って聞かないんじゃよ」
「なら、儂らは席を外そう」
「そうですな。会議は終わりましたし」
「陛下に結果を報告する必要がありますし、丁度良いですな」
「ちょっと!」
グレアム司祭の話を聞いて、サーゲロイド辺境伯と軍務卿と外務卿はあっという間に部屋から消えてしまった。
そして僕は、若い人から年老いたシスターまで沢山の女性に囲まれて質問攻めにあってしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます