二百六十三話 アホラ子爵領制圧
「交戦地が見えてきました」
馬車に乗って一時間。
馬車を飛ばしたのもあるけど、アホラ子爵領の街並みが見えてきた。
街の前で両軍が睨み合っている。
良かった、大規模な交戦にはなっていなかった。
三領地を抑えるので、中隊二百人の内八十人程がアホラ子爵領に向かっている。
対してアホラ子爵領の兵は百人を超えている。
練度の差があるとはいえ、交戦したら死傷者が複数出たはずだ。
と、ここでティナおばあさまが魔導具を使ってアホラ子爵領の兵に話しかけた。
拡声器みたいな魔導具なので、声を大きくするものなのかな?
「我は王国王族ティナである。アホラ子爵兵に告ぐ。今すぐ投降せよ。これ以上の暴挙は、王国に剣を向けると判断する」
「「「うぅ……」」」
「この声は偽りだ。突撃!」
ティナおばあさまの声に兵は狼狽えたが、指揮官が激を飛ばしこちらへの突撃を指示した。
「はあ、こうも愚か者なのか。アレク君、やっちゃって」
「はい、いくよプリン!」
バリバリ、バリバリ!
「「「ギャー!」」」
ティナおばあさまの指示を受けて、僕は事前に溜めていた魔力をプリンと共に一気に開放する。
広範囲のエリアスタンで、一気にアホラ子爵兵を無効化する。
「一気に捕縛せよ!」
「「「はっ」」」
中隊長の指示で軍の兵が動く。
百人以上敵兵がいようが、痺れて動けなければ脅威ではない。
あっという間にアホラ子爵兵は拘束されていく。
「よし、監視を残して屋敷に向かうぞ」
「「「はっ」」」
ここからはスピード勝負だ。
これだけの兵が動いたとなると、屋敷の守りは手薄になっているはず。
僕とティナおばあさまも兵と一緒になって走っていきます。
街の人は沢山の兵が街を走っていく様子を、家の陰から恐る恐る見ている。
そりゃ、交戦もあったし何が何だかわからないよね。
「うわあ、豪華な屋敷だなぁ」
「お金の無駄遣い極まりないわね」
目の前には豪華な屋敷がどーんと建っていた。
ナシュア子爵と同じ子爵領なのに、建物の大きさと規模が全然違うなあ。
屋敷の門兵に、ティナおばあさまが王家の証を見せた。
「王国王族ティナである。アホラ子爵に対する複数の容疑に対し、只今より家宅捜査を行う!」
「はっ、はいい!」
ティナおばあさまの圧力に押されて、門番は弱腰になってしまった。
その隙に、屋敷に兵がなだれ込んでいく。
やはりというか、屋敷の守備は手薄になっていてあっという間に制圧完了。
応接室を仮の司令部にして、各部屋の捜索を開始します。
「ティナ様、領主の執務室から闇ギルドとの取引記録が沢山出てきました。どうやら爆発式の魔導具も取引しているようです」
「辺境伯領での襲撃でも爆発式の魔導具が使われたから、これでほぼ確定ね」
「そもそも闇ギルドと取引しただけでも厳罰ものですよね」
リズやスラちゃんを呼び寄せる必要もなく、次々と証拠が出てきている。
こういうのはちゃんと処分しておけよと、心の中で思っていた。
現場は中隊長に任せて、早速証拠を持ってナシュア子爵領の屋敷に戻る事に。
「あいつらは馬鹿としか言いようがないな。堂々と不正記録を残しておくなんて」
「既に三貴族の捕縛に向けて兵を向けております。夕方にはここへ連行する事ができるでしょう」
沢山の書類を持って閣僚に見せると、皆呆れた声を出していた。
闇ギルドの取引だけでも十分検挙するだけの容疑になる。
もうアホな貴族の事は軍に任せておいて、目の前の災害に注力しよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます