百九十九話 来賓が続々と到着
ジンさんの結婚式当日になったので、王城から来賓を連れてきた。
陛下からお土産を頼むと言われたので、後でギルドで出された食事を詰めてもらおう。
「この間と違った結婚式だから、楽しみ!」
ルーシーお姉様は、ジェイド様とソフィアさんの結婚式とはまた違った結婚式なので、とても楽しみにしている様だ。
閣僚も貴族の凝り固まった結婚式ではないので、とてもリラックスしている。
というか、皆さん既にギルドの食事が気になっている様だ。
今日は宴会形式でワイワイやるので、マナーなんて気にしなくていいのだ。
ジンさん達は花嫁花婿の衣装に着替えるので、お手伝いする人も連れて少し早めに教会に向かった。
商務卿は既に涙目だったけど、そこはあえて突っ込まなかった。
そして、その中にジンさんのたった一人の身内が参加していた。
その人とは昨日の午前中に挨拶を済ませていた。
「初めまして、アレク殿下、リズ殿下。ジンの妹のリリーです。いつも兄がお世話になっております」
うん、ジンさんの妹とは思えない程にとても丁寧な挨拶をされた。
レイナさんやカミラさんの妹と言った方がしっくりとくる。
ジンさんと同じ真っ赤な髪色だけど、セミロングのストレートヘアなので、だいぶ印象が違う。
普段は侍従として、レイナさんの実家である商務卿の屋敷で働いているという。
なので、商務卿が辺境伯様の屋敷に滞在するときのお世話も兼ねている。
流石に今日は兄妹水入らずになる予定だが、商務卿があの様子じゃ結婚式の時には号泣しそうなので、結局は商務卿のお世話をすることになりそうだ。
「お兄ちゃん、準備できたよ」
「僕も着替え終わったよ。辺境伯様の所に行ってくるね」
「はーい」
僕とリズの着替えも終わったので、辺境伯様の所に様子を見に行く事に。
今日の結婚式には、辺境伯様とイザベラ様も出席するのだ。
あ、屋敷の中から声が聞こえてきたぞ。
「あなた。もしかして服が入らないとか、そんな事はないですよね?」
「そ、そ、そんな事は、あるかな?」
「ジェイドとソフィアの結婚式から、まだそれほど日はたっていないと思うのですが……」
「ひー!」
えーっと。
うん、辺境伯様の所はもう少し準備がかかりそうだ。
ジェイド様に準備ができたら呼んで欲しいと頼んで、僕は屋敷に戻った。
「お兄ちゃん、どうだった?」
「辺境伯様の支度は、もう少しかかりそうだね」
「そうなんだ」
リズはミカエルと遊ぶのに忙しくて、他人事の様に話を聞いている。
因みに、エレノアやルーカスお兄様にルーシーお姉様もミカエルと一緒に遊んでいた。
ミカエルも久々に大人数に遊んで貰っているので、テンションが少し高めだ。
「アレク君、本当の所はどうなの?」
「実は、辺境伯様がまた太ってズボンが履けなくなっていて。それで色々とドタバタしていました」
「あらら、そうなのね。ちょっと様子を見てくるわ」
ティナおばあさまは、僕の話を聞いて近衛騎士と共に辺境伯様の屋敷に向かった。
もしかしたら、服を直しに行ったのかもしれない。
一時間後、ジェイド様から準備が出来たと言われた。
「はあはあはあ……」
そこには精魂燃え尽きている辺境伯様の姿が。
どうも服を直す条件として、イザベラ様から運動を指示された様だ。
でも、一時間で痩せるのはキツいからなあ。
結局服を直してもらう事になった様だ。
「アレク君、もう少し待っていてね。主人を風呂に入れて汗を流させたら、直ぐに着替えさせるから」
「イ、イザベラ。み、水を、水を飲ませてくれ」
「仕方ないですね。一杯だけ水を飲ませましょう」
イザベラ様は、ちょっとこめかみがピクピクと動いている。
辺境伯様も事前に服を試着していれば対策できたのにな。
この前ズボンが履けたから、大丈夫だろうと思っていたらしい。
こうして三十分後、辺境伯様の支度が完了し皆で教会に向かった。
「リズ、今日は時間がないからレイナさん達のドレスは見にいけないよ」
「えー! 残念だよ……」
「ほら、結婚式の本番で見れるから楽しみは取っておこうね」
「うん……」
うん、決して辺境伯様のせいとは言ってはいけない。
既に辺境伯様はヘロヘロなのだから。
リズだけでなくエレノアやルーシーお姉様にスラちゃんやプリンも明らかに残念そうにしていたけど、こればかりは仕方ない。
皆で教会に入って所定の席に着く。
この前のジェイド様とソフィアさんの結婚式の時にも教会にきたけど、今日は冒険者の人がいっぱい。
皆筋肉もりもりだから、スーツがぱつんぱつんになっている。
女性陣はダイエットがって言っているけど、そういえばギルドの受付のお姉さんも沢山参加している。
普段デスクワークで動かないからなあ。
因みにジンさんの同級生も来ているらしく、冒険者じゃないから直ぐにわかった。
女性の冒険者や受付のお姉さんから熱視線を浴びていたけど、きっと気のせいだと思いたいな。
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