百九十四話 穏やかな日

 色々とあったけど、ここ暫くの間のイベントの準備も完了。

 今日は新しい冒険者服で薬草採取に来ています。


「うわあ、こんなにも沢山の薬草が採れるのですね」

「そうだよ。いつもいっぱい採れるんだよ」


 僕達と初めて同行したチセさんは、薬草が沢山採れる事にかなりびっくりしている。

 もう僕達は慣れちゃったけど、本当はこんなに薬草って採れないんだってね。

 スラちゃんとプリンも、薬草を探して採取しています。

 時々野生のスライムと遭遇してお喋りしている様で、何だかとっても楽しそうにしています。

 最近は森も静かで、動物も余計に手を出さないでいる。

 なので、以前の様に安全な森に戻りつつあった。

 そんな中、僕とリズはとある薬草を見つけた。


「あれ? これって毒消草だね」

「おお、これでリズもDランクに近づいた!」


 冒険者ランクをDに上げるためには、幾つかの指定された物を採取したり討伐する必要がある。

 たまたま見つけた毒消草は、その中のリストの一つだった。

 とはいえ、全部で三つこなさないといけないし、他のは僕達にはまだまだ荷が重いんだよな。


 そしてギルドに戻って、素材の換金。

 報酬は僕とリズとチセさんの分で三分割し、そこからスラちゃんとプリンにも分けている。

 スラちゃんやプリンも、自分で買い物をするようになってきたので、お金を少し渡している。

 プリンのお金は、相変わらず僕が預かっているけどね。


「他の依頼もできるかな?」

「まだ僕達に討伐依頼とかはできないよ」

「ぶー、倒せるのに」


 依頼掲示板を見ているけど、この時期は討伐依頼とか護衛依頼が多めだ。

 レイクランド辺境伯領では素材採取の依頼もあったけど、山登りだから僕達にはまだ早い。

 お店のお手伝いも、もう少し大きくならないと。

 そんな事を思いながら、ギルドで昼食を食べてから屋敷に帰った。


「お帰りなさい」

「今日はどうだった?」

「えへへ、Dランクに上がる為に必要な毒消草採ったの」

「あら、凄いわね。ほら、暑いから中に入りなさい」

「はーい」


 屋敷に帰ると、侍従のお姉さんが出迎えてくれた。

 リズとスラちゃんは、毒消草が採れたとニコニコと報告している。

 プリンは既にお休み中です。


「にーに、ねーね」

「ミカちゃん」


 屋敷に入ると、ミカエルがトコトコと僕達の所にやってきた。

 最近歩くのが上手になってきて、屋敷の中をトコトコとよく歩く様になった。

 僕とリズの後をちょこちょこと歩くのが、最近のミカエルのマイブームになっている。

 リズが、ミカエルの手を引っ張って僕の部屋に向かう。

 ミカエルも僕の部屋に来るとお昼寝になることが分かっているので、もぞもぞとベッドの中に潜り込んだ。

 

「お休み。お兄ちゃん、ミカちゃん」

「あー」

「お休み」


 ミカエルを間に挟んで皆でお昼寝です。

 たまにはこんな穏やかな日も良いな。

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