百九十二話 結婚式のお手伝いの予定

 もう少しすると、イベントが盛り沢山になる。

 この前生まれたリルムの弟と妹へのプレゼントは用意できた。

 陛下の誕生日パーティは、特にプレゼントはいらないという。

 というか、一緒に来賓をもてなしてくれととんでもない事を言われた。

 という事で、ジンさんの結婚式の話を聞きにお隣のジンさんの屋敷にリズと行った。

 そこで、ナンシーさんとルリアンさんの旦那さんと初めての対面。


「アレク殿下、リズ殿下。お初にお目に掛かります。ナンシーの旦那になります、ダイアンとなります。宜しくお願い致します」

「こちらからご挨拶に伺うべき所、わざわざおいで頂き申し訳ございません。ルリアンの旦那になりますゴードンです」

「「宜しくお願いします」」


 ダイアンさんもゴードンさんも剣士なので、とても体格が良い。

 ダイアンさんは茶髪の短髪で爽やかな人だ。

 対してゴードンさんは筋肉ムキムキで、黒髪の五厘刈りだ。

 二人ともリズも確認して、とても良い人だと分かった。

 なんでも、今日王都からホーエンハイム辺境伯領に着いたばっかりだという。

 丁度良かったので、二人の分も含めて話を聞いてみよう。


「いえいえ、お二人に品物を頂くなんて」

「なんというか、申し訳ないです」

「えー」


 あらら、ダイアンさんもゴードンさんもなんだか恐縮しきっている。

 そんな事を思っていたら、リズとスラちゃんがゴソゴソと何かを取り出した。

 

「こんなのはどう?」

「これはナイフですね」

「え、いや、普通のナイフではないですね」


 あ、ゴードンさんが気がついた様だ。

 そう、見た目は普通のナイフだ。見た目は。

 ジンさんが、そのナイフを見て苦笑していた。


「ダイアン、ゴードン。そのナイフはダメだ。バターを切るように、木が切れる魔鉄のナイフだ」

「……リズ殿下、謹んでお返し致します」

「我々には、とても扱えないナイフです」

「そうなんだ」


 あらら、リズもスラちゃんもシュンとしちゃった。

 とはいえ、流石に魔鉄の武器は渡せないぞ。


「アレク君とリズちゃんの感謝の気持ちがあれば大丈夫よ」

「そうそう。小さいんだから、気にしなくていいんだよ」

「うーん」


 レイナさんとカミラさんからも、気持ちだけでいいと言われてしまった。

 リズとスラちゃんは、悩んでしまったらしい。

 因みにプリンは、この間ずっと僕のフードの中で熟睡していた。


 そして場所をギルドに移して、リズとスラちゃんはお悩み中。

 受付にいたマリーさんとお話し中です。

 因みにお昼になるタイミングなので、ギルドにいる人は少なめです。


「うーん、何か出来ないかな?」

「それならお手伝いをしてくれないかな?」

「お手伝い?」


 マリーさんがリズとスラちゃんに、何か提案してきた。

 リズとスラちゃんが、興味津々で前のめりに聞き始めた。


「結婚式で幾つか手伝って貰おうかなって。例えばウェディングケーキを運んでもらったり、ギルド内の飾り付けを手伝って貰ったりしてくれると助かるわよ」

「おお、リズお手伝い頑張るよ!」


 このくらいのお手伝いなら、僕たちでもできる。

 マリーさんの提案に、リズもスラちゃんもやる気になっている。


「ジンさん達の結婚式は、帝国に出産祝いを置いてきた後だし少し時間もあるからね。焦らなくても大丈夫だよ」

「うん、分かった!」


 こうしてジンさんの結婚式のお手伝いをする事で、僕達からのプレゼント代わりとする事が決定。

 何か物を贈るよりも良い思い出になってくれるかなって、僕もそう思ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る