百九十一話 嬉しい報告

 それは王城で勉強が終わって、皆で昼食を食べている時だった。

 先に食べ終わったアリア様が、タブレットみたいな魔導具をいじり始めた。

 そして、ニコニコと皆に報告してきた。


「皆、帝国の皇妃様が無事に赤ちゃんを生んだって。元気な男の子と女の子だってよ」

「「やったー!」」


 リズとエレノアは大喜び。

 スラちゃんとプリンと一緒にくるくるとまわっていた。

 二人とも、リルムと仲良しで赤ちゃんが生まれるのを楽しみにしていたからな。


「赤ちゃんが生まれたばっかりは色々大変だから、陛下の誕生日パーティの後に帝国に行きましょうね」

「「はーい」」


 赤ちゃんが生まれたばっかりは大変だというし、もうすぐ陛下の誕生日パーティだからちょうど良いタイミングかも。


「赤ちゃんへのプレゼント、何がいいかな?」

「うーん、何がいいかな?」


 あらら、リズとエレノアは二人して赤ちゃんへのプレゼントに悩み始めてしまった。

 何とも微笑ましい光景で、ビクトリア様もアリア様もティナおばあさまもクスクスしていた。


「じゃあ、皆で王都の商会に買いに行きましょうね」

「「はーい」」


 午後は王都の街中に出て、御用商人の所にみんなで買い物に行く事に。

 近衛騎士の護衛の元、ルーカスお兄様とルーシーお姉様も一緒に出産祝いを選びます。

 街中をカラカラと馬車が進んでいき、とある商会の前に到着。

 みんなで馬車から降りると、どこかで見たことのある人が。


「いらっしゃいませ、ようこそ当商会においで下さいました」

「あ、お兄ちゃんとお姉ちゃんの結婚式にいた人だ」

「はい、その節は治療して頂き有難う御座いました」


 会頭と共に応対してきたのは、ジェイド様とソフィアさんの結婚式で治療した商会のお姉さんだった。

 体も調子良いのか、顔色もとても良くなっている。

 それが分かって、リズもニコニコとしていた。


「今日はどの様なご用件でしょうか?」

「知り合いの家で男女の双子が生まれたので、出産祝いを選びたいのですが」

「まあ、それはおめでとう御座います。それではご案内します」

「「はーい」」


 お姉さんの案内で、店の奥に進んでいく。

 すると、赤ちゃんから子ども用の服などが色々並んでいるエリアに着いた。

 

「おお、色々あるよ」

「いっぱいあって悩むよ」


 リズとエレノアは、服を手に取ったり小物をじーっと見たり結構悩んでいた。

 ルーカスお兄様とルーシーお姉様も、色々なものを見ている。


「お姉さん、どんな物がお勧めですか?」

「産衣のセットやタオルのセットがお勧めです」

「双子だから、洗濯物も増えそうですね。では、産衣とタオルのセットを二つお願いします」

「はい、かしこまりました」


 僕はお姉さんのお勧めを購入する事に。

 因みにルーカスお兄様は僕とお姉さんの話を聞いていて、選んだ物は赤ちゃん用の衣類洗剤だった。


「男の子は現実的な物を選ぶのね。まあ、親からすると有難いけど」

「さてさて、女の子の方は何を選んでいるかな?」

「おやおや、まだ選んでいるわね」


 リズとエレノアの所にルーシーお姉様も混じって、あーだこーだずっと悩んでいる。

 どうやら服を選んであげたい様で、男物と女物を選んでいた。

 その横で、スラちゃんとプリンがタオルと服のプレゼントを選んだようで、お姉さんに包装を頼んでいた。

 流石はお姉さん、スラちゃんとプリンにも普通に接客している。


「リズ、三人で選んだプレゼントって言って渡してもいいんじゃない?」

「うーん、そうだね。そうする!」

「「「はい、お願いします」」」

「では、綺麗に包装しますね」


 結局、服を何種類か選んだ様で、三人ともとても満足な表情になっている。

 ビクトリア様とアリア様とティナおばあさまも、赤ちゃんへのプレゼントを選び終わった。

 全て買い物が終わった所でお姉さんから、とある物がサンプルで渡された。


「この前の結婚式の時に、クラスメイトで色々試行錯誤したサンプル品です。トマトを使っていますので、パスタやピザにも良く合います」

「是非貰っていくわ。どんな料理ができるか楽しみだわ」

「使った感想も届けるわ。上手くいけば、国外にも輸出できるわ」


 サンプルとして渡されたトマトベースのソースに、大人だけでなく子ども達も興味津々。

 早速王城に帰ってパスタとピザを作って、おやつ代わりにみんなで試食する事に。


「「「「おいしーい」」」」


 トマトの酸味も効いていて、パスタもピザもとても美味しい。

 リズ達も美味しさに大興奮だ。


「このソースは、魚のムニエルとかにも合いそうだな」

「少し手を加えれば、肉のソースにも使えそうだ」


 陛下と宰相も試食に参加していて、別の料理にどう合うかを考えていた。

 他の閣僚からも様々な料理の提案が出ている。


「色々とアレンジができそうだな。余の誕生日パーティでも、何品か出してみるか」

「国外にアピールもできますな。もう少しサンプルを取り寄せますか」


 そして、いつの間にか色々な人物が携わりソースが更に改良される事になった。

 ジェイド様とソフィアさんの同級生も、まさかこんなことになっているとは思っていないだろうな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る