百六十五話 指名の多いタクシー
今日はジェイド様とソフィアさんの結婚式当日。
僕は朝から色々な人を迎えに行くのに大忙し。
今日の僕は、指名の多いタクシー運転手です。
勿論、辺境伯様の屋敷も大忙し。
僕の屋敷の侍従に、チナさんも借り出されています。
来賓の出迎えと披露宴の準備で色々な人がごった返しています。
僕の屋敷は子どもの溜り場になっていて、ルーカスお兄様にルーシーお姉様とエレノアを筆頭に、他の来賓の子どもも集まっている。
僕の屋敷で保護している女性と何人かのもと違法奴隷のお姉さんが面倒を見てくれていた。
元違法奴隷のお姉さんたちも傷が治ってから、屋敷の中を動くようになった。
まだ外に出るのは怖いらしいが、焦らなくても良いだろう。
パレードを見るために、何とか頑張って屋敷の前に出てみようと思っているらしい。
「ふう、やっと全員連れ終わった」
「お兄ちゃん、お疲れ」
僕はやっとの思いで全員を連れてきて、僕の屋敷に戻って一息ついています。
大抵の人が王城で待っていてくれたのだが、中には忘れ物をしたと取りに帰ったりもしていた。
ジュースを飲んで少し休んだら、今度は辺境伯様の屋敷に移動。
子ども達は遊ぶのに夢中で、ついてきてくれたのはプリンだけだよ。
と言っても、プリンは僕の胸ポケットからちょこっと顔を出して寝ているけど。
「アレク君お疲れ。早速で悪いけど、ジェイドとソフィアに加えて先陣で行く人を教会に送っていってくれない?」
「はーい」
辺境伯様の屋敷に着くと、早速イザベラ様から教会にゲートを繋ぐ依頼がきた。
実は安全面と輸送コストを考えて、教会に行く人は全員僕のゲートで送る事になっている。
僕が教会にゲートを繋ぐと、ジェイド様とソフィアさんの他にクラスメイト組や何人もの侍従がついていった。
ついていった侍従は、ソフィアさんの実家であるケーヒル伯爵家から派遣されている。
一気に人が少なくなって静かには、なっていないな。
まだまだ多くの人が、辺境伯様の屋敷にいる。
庭にはテーブルが並べられていて、披露宴会場の準備が続いている。
実は辺境伯様の屋敷と僕の屋敷を区切る柵が一時的に外されて、僕の屋敷の庭も披露宴会場になっている。
こうやって見ると、今日の結婚式に参加する人って多いんだな。
「アレク君、第二陣送ってくれない?」
「忙しくてごめんね」
「いえ、直ぐに繋ぎます」
今日はお手伝いにまわっているエマさんにオリビアさんも、何だかとても忙しそうだ。
第二陣を送り出すと、残りは辺境伯家と王族と子ども達だけらしい。
そろそろリズ達を呼ばないとと思ったら、皆が屋敷から出てきた。
流石はルーカスお兄様。
周りの状況を見ていたらしい。
「もうそろそろ結婚式に行くんでしょ?」
「楽しみ!」
リズとエレノアは、既にテンションが高くなっている。
他の子ども達と一緒に、訳のわからないダンスをしているぞ。
「やあ、待たせたな」
「ようやく準備ができましたわよ」
辺境伯様に続いてイザベラ様もやってきた。
どうやら、懸念だった辺境伯様がズボン履けるか疑惑はクリアできた様だ。
「さて、行くかのう。こう移動が楽だと、体が鈍りそうだ」
「では、教会まで走っていきますか? あなた」
「冗談だよ、勘弁してくれ」
夫婦漫才をしている陛下とビクトリア様を筆頭に、アリア様とティナおばあさまもやってきた。
という事で、最終便出発です。
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