百五十二話 誕生日パーティの準備

「ご苦労だったな。先ずは国境に対する対応は完了だ。後は相手側の出方だな」

「共和国から何か情報は来ていますか?」

「いや、まだだ。いくら不祥事を起こしたとはいえ、国の副代表だ。処分に慎重になっているらしい」


 王城にリズと軍務卿と一緒に戻ってくると、直ぐに陛下と面会できた。

 取り敢えず僕の出番はおしまいらしいので、ティナおばあさまの所にご挨拶しにいく。

 すると、待ってましたと言わんばかりにベッドの上に服が並べられていて、僕とリズの着せ替えタイムが始まった。


「ほら、もうすぐ結婚式とアレク君の誕生日パーティでしょ? 今のうちに色々と服を決めないと」

「「はーい……」」


 流石にリズも諦めの境地に入っている。

 いつもの様に、僕とリズは二時間着せ替え人形になっていた。

 ティナおばあさまと侍従はまたしてもいい仕事をしたといった表情になっていたのだが、僕とリズはいつも通りにくたくたになってしまった。

 その後はお昼の時間まで、ティナおばあさまとお茶の時間。


「もうそろそろアレク君とリズちゃんと会って一年がたつけど、二人も去年よりも大きくなったわね」

「僕達、そんなに変わりましたか?」

「リズ、大きくなった?」

「ええ、昨年の服はもう小さくなってしまったわ。ふふ、子どもの成長はとても早いものね」


 ティナおばあさまが、少し懐かしそうに僕とリズを見つめていた。

 何だか忙しい内に一年が終わってしまったので、僕とリズはまだ大きくなった実感がないなあ。

 リズは、手のひらをにぎにぎとしている。

 スラちゃんも触手を動かしているけど、スラちゃんは大きさ変わっていないよ。

 そういえば、プリンも大きさが変わっていないなあ。


「アレク君の誕生日パーティはルーカスとルーシーと一緒だから、それなりに規模は大きくなるわ。とはいえ、べストール侯爵一派が大人しいから当分は何もないと思うわ」

「逆に何かあったら大変ですよ......」


 とはいえ、ベストール侯爵はエレノアの誕生日パーティでやらかした実績がある。

 警戒しておく事に越したことはないな。


 昼食はアリア様とエレノアとティナおばあさまと一緒に食べるのだが、ビクトリア様とルーカスお兄様とルーシーお姉様がいないぞ。


「ルーカス達は、今度の誕生日パーティの礼儀の練習中だから気にしないで」

「え、それって僕もやらなくて良いんですか?」

「アレク君はできているから問題ないわ。本番までに復習すれば大丈夫」


 いやいや、とっても不安なんですけど。

 アリア様の話だと、覚えないといけない事が沢山ありそうなんですが。

 結局ルーカスお兄様とルーシーお姉様は昼食が終わっても姿を表さず、僕達のお昼寝が終わって帰る寸前になってヘロヘロになった姿を見ただけだった。

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